ボリンジャーバンドとは?

ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に標準偏差(σ:シグマ)を加えた帯(バンド)を描くテクニカル指標です。価格の変動範囲を視覚的に把握でき、FXだけでなく株式や仮想通貨の分析にも用いられます。
ボリンジャーバンドの構成
- ミドルバンド(中央のライン): 20期間の単純移動平均線(SMA)が一般的
- ±1σ、±2σ、±3σのバンド: 価格の標準偏差を反映した線。次の確率でσ内に価格が収まる
- ±1σ 約68.3%
- ±2σ 約95.4%
- ±3σ 約99.7%

標準偏差という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと「価格のばらつきの大きさ」を表します。
価格の変動が大きいとバンドの幅が広がり、逆に価格の動きが小さいとバンドの幅が狭くなります。そのため、ボリンジャーバンドを使えば、価格のボラティリティ(変動の大きさ)を一目で把握することができます。
ミドルバンドの移動平均線については下記の記事も参考にしてください。
ボリンジャーバンドの計算方法
ミドルバンド(SMA20)を中心に、±2σ(標準偏差)を加算・減算してバンドを描画します。

価格が±2σのバンドに触れた場合、過去の統計的確率から「反転しやすい」または「ブレイクしやすい」と判断できます。
ボリンジャーバンドの見方と活用法

スクイーズとエクスパンション
ボリンジャーバンドの最大の特徴は、価格の変動の大きさを一目で把握できること です。
価格の変動幅が小さいと、バンド幅も狭くなり、相場は横ばい(レンジ)状態になります。この状態を 「スクイーズ」 と呼びます。
一方、価格の変動幅が大きくなると、バンドが広がり、相場が一方向に強く動いていることを示します。この現象を 「エクスパンション」 と言います。

それぞれの特徴は次のとおりです。
📌スクィーズの特徴
- 価格がミドルバンド(20SMA)付近で動くことが多い
- ±2σで価格が反発しやすい(逆張りが有効)
- スクイーズ後は トレンドが発生することが多い
📌エクスパンションの特徴
- 価格が ±2σ以上のバンドを突き抜けると、強いトレンドが発生することが多い
- ローソク足が 上バンドに沿って推移する(バンドウォーク)なら上昇トレンド
- 下バンドに沿って推移する なら下降トレンド
バンドウォーク
ボリンジャーバンドのもう一つの特徴的な動きとして、「バンドウォーク」 があります。
バンドウォークとは、価格がボリンジャーバンドの±2σ(または±3σ)に沿って推移し続ける現象 のことです。これは、強いトレンドが発生しているときに見られる動き で、通常の「±2σで反発する」という考え方とは異なり、バンドに沿って価格が進行し続ける のが特徴です。

📌 バンドウォークのポイント
- 上昇トレンドの場合 → ローソク足が +2σ付近を推移し続ける
- 下降トレンドの場合 → ローソク足が -2σ付近を推移し続ける
- バンドの角度が急になるほど、トレンドの勢いが強い
- ミドルバンド(20SMA)を割り込むまで、トレンドが継続する可能性が高い
バンドウォークが発生すると、トレンドが強く継続しやすいため、順張り戦略が有効 です。特に、ミドルバンド(20SMA)をサポート・レジスタンスとして押し目買いや戻り売りを狙う戦略 が効果的です。
ただし、急激な反転にも注意が必要 なため、利益を守るために トレーリングストップを活用する ことをおすすめします。
トレーリングストップについては、下記の記事も参考にしてみてください。
相場の状態を把握できる
以上の2つの特徴から、ボリンジャーバンドを見れば、今の相場が トレンド相場なのか?レンジ相場なのか? をひと目で判断できます。
そのため、バンドの幅をみて次のような活用法ができます。
- バンドの幅が広がる → トレンド発生
- トレンドに 順張り する(バンドウォークが続く間は逆張りしない)
- ミドルバンド(20SMA)をサポート・レジスタンスとして活用
- バンドの幅が狭くなる → 相場がもみ合い
- レンジ相場なら逆張り(±2σで売買)
- スクイーズ後のブレイクアウトに備える
ボリンジャーバンドの注意点とリスク管理

逆張りの注意点
ボリンジャーバンドの±2σ(または±3σ) は、統計的に 95.4%(または99.7%) の価格が収まる範囲です。そのため、多くのトレーダーが「±2σに到達したら反発する」と考えて逆張り を行います。しかし、この戦略にはリスクが伴います。
価格が±2σを超えても、そのままトレンドが継続することがある
「そろそろ反転するはず」と思ってエントリーすると、さらにバンドを突き抜けて損失が拡大 する可能性があります。
特に、強いトレンド時はバンドウォークが発生する ため、逆張りが失敗しやすいので注意してください。

ボリンジャーバンドはトレンドの強さを示すもの。価格の反転を保証するものではない
ボリンジャーバンドは トレンドの強さを示すインジケーター であり、逆張り用のインジケータではないということを覚えておいてください。
一般的に、±2σを超えたら「買われすぎ」や「売られすぎ」と考えられることが多いですが、それだけで逆張りをするのは危険 です。特に、強いトレンドが発生している場合は、±3σを超えてさらに価格が伸びることもあります。
そのため、ボリンジャーバンドは 逆張り専用のインジケーターではなく、相場のボラティリティやトレンドの強さを判断するためのツール として活用するのが適切です。
逆張り成功の確率を上げるには?
ボリンジャーバンドは トレンドの強さを示すインジケーター であり、基本的には 順張り向きのツール です。しかし、逆張りにも活用したい場合は、単独で判断せず、他の指標と組み合わせる ことで成功率を高めることができます。
- RSI(相対力指数)やストキャスティクスと組み合わせる
ボリンジャーバンド単体では 「±2σにタッチしたから反転する」 とは限りません。そこで、RSIやストキャスティクスなどのオシレーター系指標 を併用すると、逆張りの精度を高めることができます。 - ローソク足の反転シグナルを確認する
ボリンジャーバンドの逆張りを成功させるには、ローソク足の反転シグナル(プライスアクション) をチェックすることも重要です。
また、損切り(ストップロス)を明確に設定することも重要です。
✅ 損切りラインの決め方
- ±3σを超えたら損切り
- 直近高値・安値を超えたら損切り
- ATR(平均値幅)を利用し、相場のボラティリティに応じた損切り設定
- 💡 トレーリングストップを活用すると、利益を伸ばしながらリスク管理が可能!
📌 結論
「ただの±2σタッチでは逆張りしない!」です。
必ず 他のインジケーターやローソク足の動きと組み合わせて判断する ことが重要です。
バンドウォークの注意点
バンドウォークとは、価格がボリンジャーバンドの±2σ(または±3σ)に沿って推移し続ける現象 です。これは、強いトレンドが発生しているときに起こるため、「±2σで反発する」と思って逆張りすると 大きな損失を被るリスク があります。

ミドルバンドを基準にトレンドの継続を判断
バンドウォークが発生した際は、ミドルバンド(20SMA)を基準にトレンドの継続を判断する ことが重要です。
一般的に、価格がミドルバンドを割り込まない限り、トレンドは継続すると考えられます。
また、バンドウォーク中は、ミドルバンドが強いサポートやレジスタンスとして機能することが多いため、エントリーや決済の基準として活用するのが有効です。

その他のバンドウォークの終わりを見極めるポイント
バンドウォークが終わるサインとして、ミドルバンドを割り込む以外にも、いくつかの重要なポイント があります。
例えば、ボリンジャーバンドの角度が平行になったり、内向きに収縮し始めた場合、それはトレンドの勢いが弱まりつつあるサインです。バンドが拡張し続けている間はトレンドが強く継続する傾向がありますが、収縮し始めると、相場がもみ合いに移行する可能性 が高まります。


さらに、ピンバー(長いヒゲのローソク足)やダイバージェンス(インジケーターとの逆行現象) などの反転シグナルが発生した場合も、トレンドの終焉を警戒すべきポイントとなります。
特に、RSIやMACDなどのインジケーターがトレンド方向とは逆のシグナルを示している場合 は、バンドウォークの終了やトレンド転換の可能性が高まるため、慎重に相場を見極める必要があります。
ボリンジャーバンドを使ったトレード戦略

バンドウォークに乗る順張りトレード
バンドウォークに乗る順張りトレード は、すでにバンドウォークが発生している状態で、その流れに沿ってエントリーする戦略 です。
多くのトレーダーは、「バンドウォーク中にエントリーすると、高値/安値掴みにならないか?」と不安を感じるかもしれません。しかし、バンドウォークがいつ終了するかは誰にもわからないため、すぐにトレンドに乗れるのがこの戦略の最大の強み です。
エントリー条件の例としては、1つ下のシグマにタッチして、反転したら押し目としてエントリーする方法があります。

損切り、利益確定の例としては、ミドルバンドを完全に割り込んだ地点で決済です。
メリット
- トレンドの勢いが強い間は、逆張りよりも勝率が高い
- エントリーが遅れにくく、短時間で利益を狙える
- バンドウォークが続く限り、大きな値幅を取れる
⚠ 注意点
- いつバンドウォークが終了するかはわからないため、適切な損切りが必須
- エントリーのタイミングを間違えると、高値/安値掴みになるリスクがある
±2σを使った逆張りトレード
ボリンジャーバンドの ±2σ は、価格が95.4%の確率で収まる範囲 です。そのため、「±2σに到達したら価格が行き過ぎている」と判断し、反転を狙う 逆張りトレード が可能になります。
しかし、ボリンジャーバンドは トレンドの強さを示すインジケーター であり、価格の反転を保証するものではありません。そのため、慎重な判断が必要であり、むやみに逆張りを行うのは危険です。
特に、この戦略はレンジ相場(バンドの幅が狭く、バンドが平行な状態)にのみ活用する のが基本です。強いトレンドが発生しているときに ±2σで逆張りをすると、そのままバンドウォークに突入して損失を被る可能性が高くなります。
エントリー条件の例としては、バンドが収縮し、±2σの範囲内で価格が上下している場合、±2σにタッチして反転したら逆張りエントリーという方法があります。
エントリー時には、±2σをタッチしたからといって即エントリーするのではなく、ローソク足の確定を待ち、反転の兆候を確認することが重要 です。

損切りの例としては、±2σのバンドを外側に抜ける地点で決済です。
メリット
- レンジが続く限り、往復で利益を得られる
- スキャルピングやデイトレなどの短期売買に向いている
⚠ 注意点
- 値幅が少ないため、大きな利益は見込めない(回数勝負)
- 短期トレード向きで中長期トレードには向いていない。
- 規則正しく上下するわけではないので、ダマシも多い
- 損切り設定を忘れるとバンドウォーク発生時に大きな損失が出る
スクィーズ後のブレイクアウト戦略
スクイーズ(Squeeze)とは、ボリンジャーバンドの幅が極端に狭くなり、価格の動きが小さくなる状態のこと を指します。
この現象は、相場が「エネルギーを蓄えている」状態を示し、スクイーズの後には、大きな価格変動(ブレイクアウト)が起こることが多い という特徴があります。
スクイーズ後のブレイクアウト戦略では、バンドの収縮が確認できた後に、トレンドが発生する方向へエントリーする手法 です。
①ボリンジャーバンドのスクイーズを確認
- バンド幅が狭くなり、過去のボラティリティと比べて異常に収縮している状態
- 価格が±1σの間で狭い値幅で推移していることが多い
- 出来高が減少し、相場が静かになっている(=エネルギーが蓄積されている)

②価格がバンドの外に飛び出した方向にエントリー
- 価格が ±2σを明確にブレイク したらエントリー
- 出来高が増加している ことを確認
- 直近の高値を超えたら、上昇トレンド継続の可能性が高い
- すぐに飛び乗るより、調整を待って反発確認後だと精度があがる

ボリンジャーバンドを使ったトレードの練習

ボリンジャーバンドを使ったトレードを成功させるためには、本番トレードの前に過去検証を行い、本当に利益を残せるのかを確かめることが重要 です。
いくら理論を理解していても、実際の相場では「ダマシ」が多く、今回紹介したトレード手法を使っても負けることは珍しくありません。そのため、自分が決めたルールを守り、規則正しくトレードを続けることが、長期的に利益を出すためのカギ となります。
過去検証を行うには、チャートを手動で振り返る方法もありますが、より効果的なのは「フォレックステスター(Forex Tester)」を活用することです。
フォレックステスターを使用することで、過去のデータを使ってリアルなトレード環境を再現し、トレードルールの有効性を確認できます。
フォレックステスターを使ったボリンジャーバンドのトレード練習動画をアップしましたので是非確認してみてください!チャンネル登録&高評価いただけると更新モチベーションになるのでよろしくお願いいたします!
フォレックスターで何ができるのか?等の詳細は下記の記事を参考にしてみてください。
フォレックステスターで、今回の記事で紹介したボリンジャーバンドを設定する方法を紹介します。
フォレックステスターでのボリンジャーバンド設定方法
チャートを右クリックして「インジケーターを追加」ー「トレンド」ー「Bolinger Bands」を選びます

次のパラメータ設定画面が表示されます。

設定する部分は下記です。
項目名 | 説明 |
---|---|
Period(期間) | ボリンジャーバンドのミドルバンド(移動平均)の期間を設定。一般的には 20本 が推奨ですが、好みに応じて調整可能。 |
Deviation(偏差) | シグマ(σ)の設定。 基本は 1.0(1σ)、2.0(2σ)、3.0(3σ) を使用。 |
MA type(移動平均の種類) | ミドルバンドの移動平均線の種類 を設定。 デフォルトでは SMA(単純移動平均線) が使われることが多い。 |
Styles(表示スタイル) | ボリンジャーバンドの線の色を設定。 デフォルトのままだと見づらいため、自分の見やすい色に変更推奨。 |
フォレックステスターでボリンジャーバンドを設定すると、デフォルトでは 1組(±2σ) しか表示されません。
バンドを1σ~3σまで表示させたい場合は、同様の手順で、Deviationだけを、1~3に変えたものを合計3つ追加してください。
最終的にインジケータリストが次のようになっていればOKです。(時間足は適用させたい時間足に適宜変えてください)


今回の記事で紹介したトレード戦略を使って、自分流にアレンジし、繰り返しテストをしてルールを最適化していってください。
まとめ
ボリンジャーバンドは、相場のボラティリティを把握し、トレンドとレンジを見極めるのに優れたインジケーター です。
バンドの幅を確認することで、相場が静かなのか(スクイーズ)、それとも動きが大きくなっているのか(エクスパンション)を一目で判断 できます。
しかし、ボリンジャーバンド単体ではダマシが多いため、RSIやMACDなどの他のインジケーターと組み合わせることで、トレードの精度を向上 させることができます。
また、今回紹介した バンドウォーク順張り・±2σ逆張り・スクイーズ後のブレイクアウト戦略 は、あくまで基本的なフレームワークです。すべての相場に同じ手法が通用するわけではありません。
そのため、自分のトレードスタイルや相場の状況に合わせてルールをアレンジし、繰り返しテストを行いながら、最適な手法を確立していくことが重要 です。
ボリンジャーバンドを使いこなし、自分に合ったトレード戦略を確立することで、相場の変動に柔軟に対応しながら、長期的に安定した利益を目指しましょう!