- 一日中チャートを見てしまい、リラックスできない。
- 「利益をいつ取ろうか」と何度も見てしまう。
- 短期的な変動を気にしてトレード戦略を変更してしまう。
これらの症状でお悩みの方に「損益が気にならなくなる」処方箋です。
チャートを頻繁に見る原因
損益を気にして何度もチャートを見てしまう原因としては次のものが挙げられます。
- ポジションサイズが不適切
- トレードの評価を利益や損失で判断している
それぞれ説明していきます。
ポジションサイズが不適切
1つ目の原因は「ポジションサイズが大きい」からです。
例えば、損切りする時の事を想像してみてください。
一度の損切りで、資金の30%が減るほどのサイズでトレードしていた場合と1%のサイズでトレードした場合、どちらが心の負担になるかは答えなくても明らかですよね。
前者は1回1回が大勝負のような心理状態になってしまうので、チャートを見まくり、少しでも利益が出たらすかさず取ってしまうと思います。
ポジションサイズが大きい場合、成功や失敗に対する感情的なプレッシャーが高まり、結果を知りたくなる傾向になります。
また、大きな利益が出た場合には興奮し、次の取引に過度の期待を抱いてしまったり、損失が出た場合には、焦りや不安がつきまとうなど、日頃の感情の揺れ幅が大きくなってしまいトレードだけでなく日常生活にも影響を及ぼしてしまいます。
ポジションサイズが大きいと、成功も失敗も感情の揺れ幅が大きくなるため、早く結果を知って安心したい心理状況から、チャートを見る機会が多くなる。
トレードの評価を利益や損失で判断している
2つ目の原因は、「トレードの評価を利益や損失で判断している」からです。
これは簡単に言うと、「利益が出たら成功(偉い)、損失が出たら失敗(ダメだ)」という考えで、損益がトレードの評価の中心となっている、ということです。
そのような状態だと、例えば、「一時的に利益が出ても徐々に減っているチャート」を見た時、
利益がなくなる=失敗になってしまう
と感じ、チャートを監視し、利益が伸びていないのに取ってしまうのです。
しかし、チャートは波を打って上下します。一時的に損失側に触れても、相場の流れが変わらない限り再度利益方向に戻る可能性があります。
もし再度エントリーできるなら問題ありませんが、微益撤退した場所での再エントリーは心理的に難しくなります。そのため、最初から自分の決済ルールに従い、一貫性のある決済をする方が、期待値に近い結果を得られます。
トレードは一連の取引の結果であり、単一のトレードで判断すべきではありません。重要なのはトレードのプロセスや判断の正確性です。
利益が出たら成功、損失が出たら失敗という考え方をもっていると、損失を避けるため、チャートを監視してしまう。
【処方箋】トレード心理の改善方法
では、これらの原因を踏まえて「損益を気にしなくなる」にはどうすればよいでしょうか?
それには次の3つを試してみてください。
- ポジションサイズを適切にする
- 利益以外で自分を褒める
- 損益を見るスパンを広げる
それぞれ説明していきます。
ポジションサイズを適切にする
まず、1回の損切りでどれだけ損失が出るかを把握し、5回連続で損切りになっても精神的に影響がないサイズに設定しましょう。
例えば、1回の損切りで1%の損失が出る場合、5回で5%の損失になります。
1回の損切り額では問題なくても、連敗するとそれなりの額になってくるので、連敗を想定して、損失額をコントロールしましょう。
慣れれば少しずつサイズを上げてもいいですが、単に「連勝して調子がいいから上げよう」は、やめましょう。そういう時に限って痛い目を見ます。
おすすめは、利益が出た時に複利のようにポジションサイズを再計算することです。
例)
100万円で10ロットで開始
↓
110万円になるまでは、固定で10ロット
↓
110万円になったので、ポジションサイズを再計算して11ロットに増やす
- ポジションサイズを連続で損切りになっても心に影響が無いサイズまで落とす。
- ポジションサイズを増やすのは「一定の利益が積み上がったら」がオススメ
利益以外で自分を褒める
「利益=成功」と考える人は、利益以外のことで自分を褒めてみましょう。
そのためには、トレードノートをつけるのがおすすめです。
1トレードにつき1つ、Excelや手書きなど何でも良いので記録を残します。
利益や損失に触れず、自分のトレードルールを守れた点を褒めましょう。
例)
「25EMAに一度タッチして反発した所でエントリーした。ルール通りでGOOD」
「押し安値を割ったため損切りした。ルール通りなので素晴らしい」
これを続けることで、自己肯定感の基準が、「損益」から「ルールを守る」に移ります。
注意点として、ルールを守れなかった時に自分を責めないようにしましょう。
トレードは自己コーチングでもあり、褒められる方が成長します。
ダメだと叱責され続けながらトレーニングするよりも、「GOOD!素晴らしい!」と褒められながらトレーニングしたほうが伸びるのと同じで、自分自身もなるべく褒めるようにしてみてください。
慣れないと気恥ずかしいかもしれませんが、誰も見てないし、コストも掛かりませんので、実践する価値があります。
トレードノートの書き方については、下記の記事を参考にしてみてください。
- 1トレードごとにルールを守った点を褒める。
- 自分自身を責めない。褒める方を重点的に。
損益を見るスパンを広げる
損益を気にしないようにする、とは言え、成績を管理している人は多いと思います。
そのような場合は、成績を評価するスパンをトレードごとではなく、月1回に広げてみてください。
1トレードごとに損益を評価して改善しようとすると、ルールがぐちゃぐちゃになります。
野球で例えるなら、1打席打てなかったごとに、バッティングフォームを見直そうとしているようなものです。そんな頻度で見直そうとしたらどれが正解なのか分からなくなりますよね。
月1回であれば、それなりにトレード数があると思うので(無い場合はもっと広げる)その中で、「ルールを守ったトレード」と「そうでないトレード」の勝率やリスクリワードを比較してみてください。
そうすると、ただ「儲かった、損をした」だけの評価よりも価値のある評価ができますし、ルールを守ることが重要ということがわかり、損益にこだわらなくなります。
- 損益管理は月1回などそれなりのトレード数が集まったら行う
- ルールを守ったかどうか、での差を評価してみると1トレードごとの損益が重要ではなくなる
まとめ
ポジションサイズが大きいと、結果を早く知って安心したくなる傾向があることから、チャートが気になって、薄利決済をしがちになります。
また、トレードの評価を損益で判断していると、損失を避けようとして、同様にチャートに張り付いて薄利決済をしてしまいます。
対策としては、ポジションサイズを適切にして、利益以外の部分で自分のトレードを評価していくようにしましょう。
また、損益を管理する場合は長めのスパンで、こちらも損益自体を評価するのではなく、ルールを守ったトレードとそうでないトレードの比較をできるようにしておきましょう。