FXトレードで利益を伸ばすためには「無駄なエントリーを減らす」ことが重要です。しかし、多くのトレーダーは「ポジポジ病」と呼ばれる、衝動的なエントリーを繰り返してしまう傾向があります。
- 値動きが大きい時、「少しの利益なら取れそう」とエントリーしてしまう。
- 動きがなくて利益出てないことに焦り、とりあえずエントリーしてしまう。
- 「なんとなく上がりそう」という感覚でエントリーしてしまう
この記事では、これらの原因を解明し、「無駄なエントリーをしなくなる」改善策を解説します。
無駄なエントリーの主な原因は?

無駄なエントリーには明確な理由があり、その多くはトレーダー自身の心理状態や市場とのミスマッチに起因しています。
ここでは、ポジポジ病に陥る典型的な原因を3つに分けて解説します。
自分に当てはまる項目がないか確認しながら読み進めてください。
機会損失への恐怖
1つ目の課題は、「機会損失をしたくない」という感情が引き金となり、衝動的なトレードを行ってしまうことです。
この「チャンスを逃したくない」という心理に駆られ、根拠のないままエントリーしてしまう行動は、「FOMO(Fear of Missing Out)」と呼ばれます。
例えば、リアルタイムにチャートを見ていると次のような考えが頭をよぎることはありませんか?
- 「上に行きそうだな」
- 「ここを超えると一気に下がりそうだ」
そして、予想が的中したときには、「あぁ!エントリーしておけばよかった!」と悔しさを感じるでしょう。

また、ニュースで「最高値更新中」といった報道を目にすると、トレードをしていない自分が損しているような気持ちになることもあります。

その状態でチャートを見れば、高値圏にあるのに「そろそろ下がりそうだ」と思い込み、衝動的に売りエントリーをしたくなるのです。
これらの感情は心理学で「損失回避バイアス」と呼ばれる現象によるものです。
人は、得られる価値よりも失う価値の方を大きく感じる傾向があります。そのため、「利益を得られる機会を失うのではないか」という不安に焦点が当たり、冷静な判断が難しくなります。
機会損失については、次の記事も参考にしてみてください。
- チャートを見て無意識に予想すると、「機会損失するんじゃないか」という不安からトレードをしてしまう。
- 人は「損失回避」の傾向があるので機会を失うことに焦りを感じる。
相場環境のミスマッチ
2つ目の課題は、「相場環境が合わないことによる欲求不満」です。
どういうことかというと、たとえば、あなたのトレードルールが次のような手法だとします。
「レンジブレイク後のトレンドフォロー」

しかし、相場環境がレンジ相場のまま何週間も続き、トレンドが発生しない状況が続くとどうでしょうか?

焦りから、普段のトレードルールを無視してしまう可能性があります。
具体的には、いつもは4時間足をベースにトレードしているのに、15分足や1分足といった短期足に切り替えて、無理やりトレードできそうなポイントを探し始めるようになります。
その結果、以下のような問題が発生します。
- 短期足のトレードは反転が早く、損切りが続いてしまう
- 利益が出ても、利益幅が小さく、期待した成果が得られない
このように、相場環境がトレードルールに合わない状況で無理にトレードを行うと、成績に悪影響を及ぼします。これが、「相場環境のミスマッチ」による欲求不満トレードです。
相場環境が合わない状態が続くと、欲求不満から無理にエントリーできそうな所を探してしまう。
トレードルールへの不信感
3つ目は「ルール(手法)に自信が持てていない」です。
自分の手法で結果が出ている時は起きないのですが、
結果が悪くなってくると「本当にこの手法を続けて良いのだろうか?」という不安が起きます。
すると、いつもは見ない別の指標をチャートに組み込んだりして、
「MACDがゴールデンクロスしてる」
「RSIが買われすぎを示している」
「25EMAを割り込んだ」
というように、現状のチャートに都合の良い状態の指標を採用してしまいます。
しかし、思いつきで指標を追加しても、トレードがうまくいくはずがありません。
結果的に、勝率を下げてしまう原因となります。
ルールに自信が持てなくなると他の手法に手を出したくなる。
無駄なエントリーを防ぐための具体策は?

原因がわかったら、次に重要なのは具体的な解決策です。
無駄なエントリーを減らすためには、日々のトレード習慣を見直し、明確なルールを持つことが鍵となります。
以下では、実践しやすい4つの改善策を詳しく説明します。
これを取り入れれば、確実にトレードの質が向上するでしょう。
チャートを見る時間を制限する
1つ目の対策は、「チャートを見る時間を決めること」です。
機会損失に対する不安は、「チャートの見すぎ」を改善することで軽減できます。
とはいえ、全くチャートを見ないのではトレードができなくなってしまうため現実的ではありません。ですが、スイングトレードで数分ごとにチェックするのも、明らかにやり過ぎですよね。
ご自身のトレードスタイルに応じて、以下の頻度を目安にしてみてください。
- スイングトレード:1日1~5回程度
- デイトレード:1時間に1回程度
- スキャルピング:トレードを休む時間帯を作り、ON/OFFのメリハリをつける
また、1日のうちでは、以下の時間帯がチェックに適しています。
9時:東京市場がオープンする時間帯。7~8時はボラティリティとスプレッドが高いため、上級者向け。
11時:日銀金融政策決定会合の発表や、株式市場の前場終了時刻に相場が動く可能性があるため。
16時:ロンドン市場がオープンする時間帯。欧州の重要指標も発表されやすい時間。
21時:ニューヨーク市場がオープンする時間帯。米国の重要指標も発表されやすい時間。
お腹が空いている時に美味しそうな食べ物を見ると、食欲がさらに刺激されるように、トレードしたい気持ちがある時にチャートを見ると、余計にトレードをしたくなってしまいます。ですから、チャートを見る時間は「ほどほど」にしておきましょう。
また、含み益が出ている場合、結果を早く確定させたくてチャートを頻繁に見てしまうことがあります。この点については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
- チャートを見る時間を決めて、見すぎない。
- 見るなら、9時/11時/16時/21時あたりがオススメ
チャートはPCでチェック
2つ目の対策は、「チャートはPCでチェックすること」です。
「トレードはスマホでする」という方も多いですが、スマホには以下のようなデメリットがあります。
- 衝動的なトレードをしやすい:
いつでもどこでもチェックできる反面、冷静な判断が難しくなります。 - 情報量が少ない:
スマホは表示領域が狭く、チャートの縮尺も荒いため、PCほど詳細な情報を得られません。
これらの理由から、チャートチェックはPCで行う方が、衝動的なトレードを抑えやすくなります。
日中PCを使えない場合の対策
とはいえ、「日中はPCでチャートなんか見られない」という人も多いので、
以下の方法を試してみてください。
PCでの計画立案
- 朝または前日の夜にPCでチャートを確認し、トレード計画を立てます。
- エントリーや決済の条件を明確に決めておきましょう。
スマホでの実行
- あらかじめ逆指値を設定しておくか、日中の決まった時間にスマホでチャートをチェックします。
- 計画通りの価格に達した場合のみアクションを起こします。
このように、PCとスマホを役割分担することで、冷静な判断と実行が可能になります。
- PC:情報整理と意思決定
- スマホ:決済専用
冷静な判断はPCであらかじめ行い、スマホはその計画を実行するためのツールとして使うことで、衝動的なトレードを防ぐことができます。
- スマホは手軽な反面、情報量が少なく、衝動的なトレードをしがち。
- PCは、情報整理と意思決定として使い、スマホは決済専用にすると衝動的なトレードを抑えられる。
ルールの振り返りを習慣化する
3つ目の対策は、「ルール(手法)の振り返りを習慣化すること」です。
ルールがうまく機能しない時に、他の手法に目移りしてしまう気持ちはよく分かります。
ですが、どの手法にも「得意な相場」と「苦手な相場」があります。この違いを理解するためには、以下の問いを自分自身に投げかけてみてください。
- この手法は、どういうポイントで利益を上げるのか?
- エントリーする場所の特徴と優位性は何か?
- 現在の相場は、この手法にとって得意な相場か?
これらの問いを考えることで、不思議と衝動的な感情が抑えられ、「今はその時ではない」という冷静な判断ができるようになります。
もし上記の問いに答えられない場合、それはルールが十分に確立されていない可能性を示しています。この場合、まずはトレードルールの見直しを行うことが重要です。
ルールの見直し方法や作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
トレードは、勝敗よりもルール通りの行動が正しい、です。
- 自分のルールを振り返ると衝動的な感情を抑えられる。
- トレードは「勝敗よりもルール通りの行動」が正しい。
欲求不満解消用の口座を用意する
最後の対策は、「不満解消用の口座を作ること」です。
これは、いっそのことルール無視の衝動にまかせたトレードを行うための別口座を作る、というアイデアです。
デモトレードでも本口座でもOK
この口座はデモトレードでも本物の口座でも構いません。
ただし、本物の口座で行う場合は損失の可能性が高いため、最小ロットでトレードするようにしましょう。(リスクについては自己責任でお願いします。)
デモトレード(練習トレード)は下記の記事を参考にしてみてください。
客観的な比較で学びを得る
この方法により、ルールに忠実なトレードの成績と、衝動的なトレードの成績を客観的に比較することができます。短期間では運の要素も絡むため、数ヶ月から1年単位で続けてみると、明確な違いが見えてくるはずです。
おそらく、衝動的なトレードをした口座では、資金が大幅に減っているか、最悪の場合は資金が飛んでしまっている可能性があります。
その結果を見て、「衝動にまかせたトレードを続けたいかどうか」を冷静に判断してみてください。
こうした体験を積むことで、衝動的なトレードへの欲求が薄れ、ポジポジ病が自然と解消されていると思います。
お得な口座開設を狙おう
また、どうせ新しく口座を開くなら、キャッシュバックキャンペーンを実施している口座を選ぶのがオススメです。これにより、トレードの学びと同時にお得感も得られますよ。

- ルール無視の衝動的なトレードができる別口座で自由に発散してみる。
- ルール通りとルール無視、どちらが良いかを体感できれば、おのずとポジポジ病はなくなっていく。
まとめ
ポジポジ病を克服するには、以下のポイントが重要です:
- 原因を正確に理解する。
- 具体的な改善策を実践する。
- 心理面の安定を目指し、冷静にトレードする。
無駄なエントリーを減らすことで、トレードの安定性が格段に向上します。まずは自分のトレード習慣を見直し、小さな改善から始めてみましょう。