初心者必見!実践的なFX トレードルールの作り方

  • トレードルールはどうやって作るの?
  • ルールを作る具体的な流れは?
  • 勝てるルールなのか判断する方法は?

これらの疑問を解消します。

トレードルールとは?

トレードルールとは、一言で言えば「何を根拠にトレードするか」を定めたものです。

これをトレード戦略やトレード手法とも呼びます。

相場は上がるか下がるかがランダムであるため、根拠無しに売買するのはギャンブルと同じです。

一貫したルールに基づいてトレードすることで、そのルールの期待値に近い結果を出すことが目的です。

ただし、絶対に勝てるルール(いわゆる聖杯)は存在しないことを覚えておいてください。

トレードでは、主に次のルールを決めます。

  • 資金管理のルール
  • エントリーのルール
  • 決済のルール

狭義では、エントリーや決済にフォーカスしたものをトレードルール(手法や戦略)と呼ぶことが多いですが、広義では、資金管理(ポジションサイズ等)も含めます。

当記事では、資金管理も含めた広い意味でのトレードルールの作り方を紹介します。

資金管理のルールを決める

FXの資金管理では、主に次のようなことを決めます。

  • 資金配分
  • レバレッジの決定
  • ポジションサイジング
  • 許容する損失額
  • 収益の再投資

資金配分

自分が投資に使える余裕資金の額を決め、その資金をどの商品にどれくらい分散させるかを考えます。

具体例としては下記があります。

方法説明配分例
60/40 ポートフォリオ資産の60%を株式に、40%を債券に配分する方法。リスクとリターンのバランスを取るためによく使われる。60% 株式(例:S&P 500インデックスファンド)
40% 債券(例:米国債券ファンド)
年齢ベースのポートフォリオ年齢に応じてリスクを調整する方法。「100から自分の年齢を引いた数」を株式の割合とし、残りを債券に配分。30歳の場合:70% 株式、30% 債券
50歳の場合:50% 株式、50% 債券
3ファンドポートフォリオ株式、債券、国際株式の3つのファンドに分散投資する方法。50% 国内株式(例:米国トータルストックマーケットインデックス)
30% 国際株式(例:全世界インデックスファンド)
20% 債券(例:米国総合債券インデックス)
コア・サテライト戦略資産の大部分(コア)を安定したインデックスファンドに投資し、残り(サテライト)を高リスク・高リターンの投資に回す方法。80% コア(例:S&P 500インデックスファンド)
20% サテライト(例:テクノロジー株や新興市場株)
バリューアベレージング定期的に資産配分を調整し、目標の資産額に合わせて資金を増減させる方法。毎月の目標額に対して、資産価値が低ければ追加投資、高ければ資金を引き出す。

これは、ある程度の資金規模になってきた時に特に重要です。

少額の場合、分散させると効率が悪くなることがあるため、1つの商品に集中することが多いです。

資金規模に応じて、適切な分散投資の方法を選びましょう。

レバレッジの決定

レバレッジとは、証拠金を入れることで、より大きな金額の取引ができる仕組みのことです。

日本国内のFX証券会社では、最大25倍のレバレッジが可能です。海外の証券会社では25倍以上のレバレッジが提供されることもあります。

例えば、100万円を証拠金として入れ、25倍のレバレッジを利用すると、2500万円分の取引ができます。

1ロット(※)を1万通貨とすると、ドル円が100円の場合、1ロット=100万円になります。

※ロット:取引量を表す単位。証券会社によって1ロットの通貨単位は異なります。

1ロットが1000通貨の証券会社の場合、この例では1ロット=10万円となります。

レバレッジなしでは1ロットしか取引できませんが、25倍のレバレッジを使えば25ロット取引できます。(実際にはスプレッドなどの細かい条件もあるため、これは単純計算の例です)

レバレッジを高めると資金効率は上がりますが、損失が発生した場合の元金への影響も大きくなるため、ご注意ください。(1万通貨で1円動くと、1ロットでは1万円ですが、25ロットでは25万円の変動となります)

ポジションサイジング

レバレッジ倍率と使用可能な資金量が決まれば、次の計算式で取引できる最大ロット数が決まります。

最大ロット数=証拠金 ÷ 為替レート × レバレッジ ÷ 1ロットの通貨単位

例)証拠金:100万円、ドル円:100円、レバレッジ25倍、1ロット=1万通貨の場合

最大ロット数=1,000,000÷100×25÷10000=25ロット

ただし、1回のトレードで全資金を使ってしまうと、1度の損失で資金を失うリスクがあります

そこで、1回のトレードで使用するロット数を調整して、複数のポジションを持てるようにすることをポジションサイジングと言います。

例えば、5回に分ける場合は、

25÷5=5ロット/ポジション

となり、1ポジション5ロットで、5ポジションもつ事ができます。

ただし、余裕(バッファ)を持たないと証拠金維持率が不足し(いわゆる追証)、強制的に決済される可能性があります。そのため、実際には3ポジションまで使用し、2ポジション分は余裕として残しておく、といった方法を取ります。

このように、何ポジションに分けるか、1ポジションに何ロットを割り当てるかを資金管理のルールとして決める必要があります。

許容する損失額

「1ポジションに何ロットを割り当てるか」を決める目安として、許容する損失額を決めて逆算する方法があります。

例えば、資金が100万円で、1トレードあたり2%の損失(2万円)まで許容する場合を考えます。
1ロット(1万通貨と仮定)なら、200pips(ドル円なら2円)の損失まで許容できます。

しかし、1ポジションに5ロットを取引した場合、

20,000÷50,000=0.4

となり、40pips(0.4円)の損失までしか許容できません。

もし、100pips(1円)の損切り幅を取りたいのであれば、以下の計算式で1回あたりのポジション数を計算できます。

1ポジションのロット数=証拠金×2%÷損切り幅(円)
=1,000,000×2%÷1円=20,000通貨=2ロット

ポジションを多く取って損切りを早くするか、ポジションを少なくして損切りを遅くするかは、トレード手法によって検討してください。

収益の再投資

利益が増えると、証拠金も増えていきます。

そうすると、1ポジションで取引できるロット数を増やすことができます。

次の例を御覧ください。

例)
100万円で2ロットで運用し、資金が150万円になったとします。

損切り幅を1円で、損失を2%まで許容する場合、証拠金が100万円から150万円に増えると、以下の計算になります。
150万×2%÷1=30,000通貨=3ロット

打てるロット数が1つ増え、3ロットが可能になる。

これが収益の再投資です。

増えた分を出金して、ロット数を変えずに運用してもいいですし、例のように、全て再投資してロットを増やして行くことで利益を高めることもできます。

再投資は複利効果を生むため、増やす目的なら、一定額単位で増やしていくことをオススメします。

  • 資金量に合わせた最大ロット数を把握する。
  • 1トレードのポジションのロット数を決める。
  • ロット数を決めるときには損失許容額から決める方法がある。
  • 収益を再投資すれば複利効果を見込める

エントリーのルールを決める

エントリーの根拠となるルールを決めていきます。

まずはシンプルに

初めての場合、どんなルールを設定すればよいのかわからないことが多いです。そのため、まずはシンプルで一目でわかるルールから始めると良いでしょう。

例えば、次のようなルールです。

  • 移動平均線にタッチして反発し、次の足で上抜けしたら買い
  • 移動平均の帯を完全に上抜けたら買い
  • レンジの上限を突破したら買い

いきなり複雑なルールやよく知らないインジケーターを使うと、検証が大変で挫折しやすくなります。

ルールやインジケータをよく知らない人は次の「仮説を立てて検証する」方法も良いです。

仮説を立てて検証する

チャートを長期間観察していると、特定のパターンが現れた際に上昇しやすい、または下落しやすいという傾向に気づくことがあります。

その「なんとなく感じる傾向」を文章化してみてください。チャートのスクリーンショットを撮るでも構いません。

こうして、そのパターンが現れた時にエントリーするというルールを作ることができます。

しかし、まだ思いつきの段階で、そのルールの期待値がどれほどあるかはまだわかりません。

多くの初心者が退場する原因は、この思いつきの段階で本番トレードを始めてしまうことにあります。

本番で試す前に、過去のチャートを使ってどれくらいの成績が出たかを検証する必要があります。

これが過去検証です。

過去検証については、詳細な記事がありますので、以下を参考にしてください。

既存のルールを検証する

エントリールールは、必ずしも自分が作る必要はありません。

他の人が作ったルールを使ってみる、というのでも問題はありません。

現在は情報が豊富にあります。ブログ、YouTube、FX書籍、証券会社のサイトなどを探して、自分が理解できそうなものを選び、検証してみてください。

他人のルールを使う大きなメリットは、ルール作成に伴う試行錯誤の過程を省略できる点です。

しかし、デメリットもあります。例えば、

  • なぜ、この条件でエントリーするんだろう?
  • このインジケータを使う理由は?
  • 正しいパターンでトレードできているのか不安

のように、本来は、試行錯誤で乗り越える部分の成り立ちを知らないので、100%ルールの意図通りに実践するのが難しいことです。

YouTube紹介されてるルール通りにトレードしてるのになぜか勝てない

ということが起こるのはそのためです。

ルールを教える側も、すべてのチャート状況に対応した動きを教えることはほぼ不可能です。基本ルールを覚えたら、過去検証を行い、自分なりの解釈を加えながら微調整していくことが、自分に合ったルール作りの鍵となります。

なので、人が作ったルールだとしても、過去検証でちゃんと結果がだせるか?のチェックは必要です。

  • エントリールールはシンプルなものから。
  • 自分で作る場合も、人が作ったルールを使う場合も過去検証は必須。

決済のルールを決める

決済は、損切りか利益確定しかありませんので、それぞれのルールを決定します。

損切りルール

損切りのルールのパターンとしては次のものが考えられます。

  • エントリー根拠が崩れた位置に設定
  • 固定額(例えば、損失許容額に達する位置)に設定
  • 両者の組み合わせ

エントリー根拠が崩れた位置に設定

例えば、次のような上昇トレンドでエントリーした場合、

移動平均線を割って、さらに押し安値を割るポイントになったら、トレンドが終了したとして、損切りを設定する、という例です。

このように、チャート上重要な位置に設定します。

固定額に設定(損失許容額に達する位置など)

資金管理の項目で、許容する損失額の設定について紹介しましたが、1トレードあたりで許容できる損失のラインに自動的に損切りを設定するパターンです。

この場合は、1円(100pips)など固定額での損切り設定となります。

両者の組み合わせ

損切り位置の設定方法として、まずはチャート上でエントリー根拠が崩れる位置に設定します。

第2候補として、損失許容額に応じた位置に設定する方法があります。

この方法では、1つ目の損切りラインがエントリー後に利益が出始めれば、トレーリングストップとして機能するようになります。

どの方法でも、損切りには逆指値を使うのが一般的です。詳しくは、下記の記事も参考にしてください。

利益確定ルール

利益確定はトレーダーが悩むポイントです。

早く確定しても、待ちすぎても後悔することが多いのが利益決済です。

まずは、自分のトレードルールが勝率重視型なのか、リスクリワード重視型なのかを把握しましょう。

「リスクリワードって何?」という方は、下記の記事を参考にしてください。

過去検証を行うことで、勝率とリスクリワードを把握できます。

  • 勝率が高くてリスクリワードが低い
  • 勝率が低くてリスクリワードが高い

期待値がプラスであれば、どちらも正解です。

【勝率重視型の場合】
・決まった利益が出た時点で決済。
・その後、さらに伸びても、ルール通りにトレードできたのだから後悔しない。

【リスクリワード重視型の場合】
・トレーリングストップをうまく使って、できるだけ伸ばし、相場が反転したら決済。

以上が、おすすめの方法です。

  • 決済のルールは、損切りと利益決済に分けて設定する。
  • 損切りは、エントリー根拠が崩れる場所か損失許容額の位置に設定。
  • 利益決済は、自分のルールが勝率重視かリスクリワード重視かで変えていく。

ルールを検証する

ここまで紹介してきた「資金管理」「エントリー」「決済」のルールが出来たら、必ず過去検証を行ってください。

これをせずにぶっつけ本番で望むと大抵失敗します。

ルールを決めたばかりの時は、「なんて素晴らしいルールができたんだ」と自己評価が高くなりがちです。

過去検証することで、客観的に結果を見られます。

例えば、勝率の高いエントリールールを作ったつもりが、条件が複雑で、そのパターンがほとんど発生せず、エントリーチャンスが3ヶ月に1回しかない、ということが起こるかもしれません。

過去検証は下記の記事を参考にしてみてください。

デモトレードまたは少額で実践開始

過去検証で良い結果が出たことを確認できたら、いよいよ実践です。

実践の前にデモトレードから始めても構いません。デモトレードでは意欲がわかないという人は、実践でも問題ありませんが、ロットを最小から始めることをおすすめします。

※デモトレードとは、実際の資金を使わずに、リアルタイムの相場で自分のルールに基づいて取引することです。

過去検証と実践の大きな違いは、本当の損失が発生することによる感情のゆらぎです。

過去検証ではルール通りにできたのに、実践になると損失を避けるためにルールを守れなくなることがあります。

特に、リスクリワード重視のルールの場合、勝率が低いことが多いため、検証中は気にならなかった連敗が実践だと連敗に心が耐えられなくなり、ルールを放棄してしまうことがよくあります。

この感情の乱れに耐えられるかが、実トレードならではの評価項目となります。

当ブログのテーマは、このようなトレードの悩みを想定して作っておりますので、心が折れそうになったら、当ブログを見て冷静になり、ルールを死守できるよう頑張ってください。

トレードノートで記録をつける

実践がはじまったら、トレードノートをつけることをオススメします。

トレードノートをつけることで、感情のケアやルールの再評価といったことが期待できます。

トレードノートの付け方等については下記記事を参考にしてください。

定期的にチェック

トレードノートをつけ、定期的にチェックして、ルール通りにできているかを確認してください。

また、改善したいルールがあれば変更しても構いませんが、その都度、過去検証をやり直すようにしましょう。この繰り返しでルールを改善していきます。

注意点としては、

  • 無闇にルールを増やさない
  • ルールを複雑にしない
  • 評価はトレードごとに行わない(一定期間で評価する)

です。

無闇にルールを増やしたり、ルールを複雑にすると、エントリーを躊躇してしまうことがあります。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

また、評価を1回のトレードごとに行うとルールが混乱してしまいます。1回ルールを決めたら、一定期間はそのルールで運用するようにしましょう。詳しくは下記の記事を参考にしてください。