- 含み損が続くと何も手につかない
- 毎日イライラしている
- チャートを見るのが怖い
これらの症状でお悩みの方に「ストレスを軽減する」処方箋をお伝えします。
イライラの原因を知る
まずは、イライラの原因を知る必要があります。
FXの含み損などでイライラしてしまう原因には次のものがあります。
- 防衛本能の働き
- 利益、目標、勝率にこだわる焦り
それぞれ解説していきます。
防衛本能の働き
まず最初に注目したいのが、「脳の防衛本能」です。
人間の脳は、潜在的な危険や損失に敏感になるよう設計されています。これは生存本能の一部であり、自己の安全と生存を最優先する仕組みです。
そのため、損失を経験すると、脳はストレス応答を引き起こし、交感神経の活性化やストレスホルモンを放出します。
損失を経験すると、脳はストレス応答を引き起こします。この結果、交感神経が活性化し、ストレスホルモンが分泌されます。たとえば、含み損が増大すると、筋肉が緊張し、感情は不安に支配され、イライラしやすくなるのです。
これは生理的な反応であり、人間なら誰にでも起こり得るものです。
この点を理解しておくことが重要です。
しかし、すべてのトレーダーが含み損を抱えたときに同じようにイライラするわけではありませんよね?実際には、冷静に対処している人もいます。
つまり、対処法が存在するということです。
後半で具体的な方法について詳しく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
- 損失を抱えると、防衛本能から、ストレスホルモンが放出され、イライラにつながる。
利益、目標、勝率にこだわる焦り
次に注目すべきは、「利益・目標・勝率にこだわることで生じる焦り」です。
以下のようなケースが挙げられます。
利益へのこだわり
「身銭を切っている以上、利益を出さないと」と考えているのに、逆に損失が膨らみ、イライラしてしまう。
目標へのこだわり
「月利◯%」という目標を掲げているのに、含み損を抱えると「達成できないかもしれない」と焦り、イライラする。
勝率へのこだわり
連敗が続き、「これ以上負けたくない」という感情が湧き上がり、イライラする。
これらはいずれも、「目先の利益にとらわれている状態」と言えます。
時間割引の心理的影響
人は「目の前の利益」と「将来の利益」を比べると、目先の利益を重視しがちです。この傾向を行動経済学や心理学では「時間割引」と呼びます。
例えば、「今日1万円もらう」と「1ヶ月後に2万円をもらう」という選択肢があれば、多くの人が「今日1万円」を選びます。
FXトレードに置き換えると、以下のような状況が当てはまります。
「1回のトレードで得られる1万円」と「10回のトレードで得られる合計2万円」を比較した際、多くの人が前者を選びたくなるのです。
これは、「失敗を避け、早く利益を手に入れたい」という心理の表れです。
焦りと不安が引き起こすイライラ
しかし、早く利益を手に入れようとしても、思うように勝てるとは限りません。逆に目の前の利益さえ手に入らない状態になると、焦りと不安が募り、イライラが増してしまいます。
一方で、含み損が発生してもイライラしないトレーダーもいます。その理由は、彼らが「短期的な利益」にとらわれず、長期的な視点を持ってトレードに臨んでいるからです。この点について、後半でさらに詳しく説明します。
- 利益/目標/勝率など、短期的な利益にとらわれてしまっていると、それを得られなそうなときに焦りが生じ、イライラしてしまう。
トレードのイライラを解消する具体策は?
これまでに挙げた原因を踏まえ、トレード中のイライラを軽減するために以下の方法をご紹介します。
- チャートから離れる
- ポジションサイズを減らす
- 金額ではなく割合で考える
- 投資先の分散
- リスクリワードを理解する
それぞれ解説します。
チャートを見すぎない
まずは、シンプルに「チャートを見すぎないこと」です。
見ないことで、含み損から意識をそらします。
自分も経験がありますが、含み損がある状態だと、「上がれ上がれ」と必死に唱えてチャートにかぶりついてしまいます。それこそ、競馬レースでも見ているかのように・・
しかし、チャートを見続けたところで、相場は何も変わりません。
むしろ、感情に左右されてルールを無視したトレードを始めてしまう可能性があります。
以下の2点を実践し、無駄なストレスから自分を解放しましょう。
逆指値で損切りを設定する
チャートを見ないと言っても、その間に大きく反対側に動くと、気づかぬうちに大損してしまいますので、逆指値であらかじめ損切り設定は忘れないようにしてください。
損切りのポイントはルール通りに一貫性を持って設定しましょう。
逆指値で損切りが実行された場合でも、それは「ルール通りに損失を限定できた」ということですので、悪い結果ではありません。
逆に、損失を恐れて損切りを外し、ポジションを「塩漬け」にしてしまうのは最悪の結果を招きます。
逆指値の方法や、損切りに悩む方は、以下の記事も参考にしてください。
チャートを見る時間を決める
チャートを見すぎると、余計なトレードをしたくなりがちです。一方で、全く見ないと利益を逃してしまう可能性もあるため、見る時間を決めることが重要です。
トレードスタイルに応じて、以下を目安にしてください:
- スイングトレード:1日1~5回程度
- デイトレード:1時間に1回程度
- スキャルピング:トレードを休む時間帯を作る(ON/OFF明確に)
値動きしやすい時間帯を狙うのも有りです。
9時:東京市場オープン。(7~8時はボラティリティとスプレッドが高いので上級者向き)
11時:日銀金融政策決定会合の発表や株式相場の前場終了時間で動くことがある。
16時:ロンドン市場オープン。欧州重要指標も。
21時:ニューヨーク市場オープン。米重要指標も。
- チャートから離れれば、含み損がわからなくなるので、あとは逆指値の損切りに任せる。
- 決めた時間にだけチャートを見て、利益が決めた幅出ていれば、決済判断する。
ポジションサイズを減らす
損失で感情が不安定になるのは、脳の防衛本能が働いているためです。しかし、その本能が働かない程度の損失に抑えれば、ストレスを軽減することが可能です。
たとえば、小学生の頃は100円でも大金に感じたかもしれませんが、社会人になった今、100円を落としても生活に支障が出るほどイライラすることはないですよね?
それと同じで、失っても感情が揺さぶられない金額までポジションサイズを減らしてみてください。
金額ではなく割合で考える
損失額を現実的に考えるとプレッシャーを感じやすいため、金額ではなくパーセンテージで考えるのも有効です。「資産の◯%まで」と基準を決めることで、冷静に対処しやすくなります。
もし「少しも損をしたくない」という考えが強い場合、残念ながら投資そのものが向いていない可能性があります。なぜなら、絶対に損しない投資は存在しないからです。それは「タダでお金をください」と言っているようなものです。
損失が許容できない場合は、リスクがほとんどない選択肢として定期預金や利息型の商品を検討することをおすすめします。これらは投資ではなく、安定的に資産を運用する手段として適しています。
- 自分が感情を保てる損失額を考えてみる。
- 額だと元本によっては大きくなるので、率で考える(1%なら耐えられる等)
投資先を分散する
ポジションサイズを減らしたいけれど、全体の投資額は減らしたくない場合は、投資先を複数に分散することでリスクを軽減できます。
例えば、100万円を1つの投資先に集中すると、10%の損失で10万円の損害を受けます。しかし、25万円ずつ4つの投資先に分散すれば、同じ10%の損失でも損害は1つあたり2.5万円に抑えられます。
さらに、相関性の低い投資先を選ぶことで、損益の相殺が期待できます。
例えば、片方の投資先で損失が出ても、もう片方で利益が出れば、トータルの損失を抑えることが可能です。これにより、心理的な負担も軽減されます。
分散投資のデメリット
分散投資には以下のデメリットもあるため、注意が必要です
- 利益の分散
資金量が少ない状態で分散すると、得られる利益も小さくなり、投資の意味が薄れてしまうことがあります。 - 管理の手間
投資先が増えるほど、個々の管理が複雑になり、手間がかかるようになります。 - 相関性の注意
相関性の高い投資先を選んでしまうと、分散の効果が薄れてしまうため、十分にリサーチした上で実行しましょう。
- 投資先を分散すると、全体の投資額は変わらず、ポジションサイズを抑えられる。
- ただし、分散するほど利益も小さくなり、管理も大変になる。
自分のトレードのリスクリワードを知る
目先の利益にとらわれることがイライラの原因の一つですが、それを防ぐためには、自分のトレードにおけるリスクリワードを理解することが重要です。
リスクリワードとは?
リスクリワードとは、損失に対する利益の割合を指します。この割合が大きいほど、1回の利益が損失に対して十分に大きいトレードができていることを意味します。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
勝率とリスクリワードの関係
リスクリワードが高い戦略では、勝率が低くなることが多いです。そのため、目先の勝率を気にしすぎると、本来のリスクリワードを実現する前に利益を早めに確定してしまい、結果としてリスクリワードが低くなってしまいます。
自分のリスクリワードを把握していれば、勝率が低下したとしても「これは自分の戦略だ」という明確な根拠を持てるため、焦りや不安が軽減されます。
自分のリスクリワードを知るには?
自分のリスクリワードが分からない場合は、トレードルールの見直しや過去検証が必要です。
これにより、リスクリワードを計測し、改善するヒントが得られます。
以下の記事も参考にしてください。
- 目先の利益よりも、自分のリスクリワードを保ち続けるのが重要
- 自分のリスクリワードがわからない人はそれを知ることから。
まとめ
含み損が増えてイライラするのは、人間の本能的な反応であり、完全に避けることは難しいものです。しかし、それを軽減したり気にしなくなったりするための工夫は存在します。
- 相場をコントロールしようとしない
相場は自分ではどうにもできません。やれることをやったら、あとはチャートを見ないようにして、損切りはあらかじめ設定した逆指値に任せましょう。 - ポジションサイズを調整する
損をしても気にならなくなる金額までポジションサイズを減らすことで、心理的な負担を軽減できます。 - 目先の利益よりルールを重視する
目先の利益にとらわれるのではなく、自分のルール(リスクリワード)を優先しましょう。これが結果的に安定したトレードにつながります。
これらの工夫を実践することで、イライラは徐々に軽減されていきます。ぜひ試してみてください。