- 今週利益を出せなかった。どうしよう…。
- 目標達成まで○万円なのに、あと少しが届かない!
- 焦ってトレード回数増やしたら利益が減ってしまった…。
トレードが、利益目標に到達できないと感じた瞬間、焦りが生じたことはありませんか?
その焦りがきっかけで過剰な取引や感情的な判断に陥り、さらに損失を増やしてしまった経験がある方も多いでしょう。
焦りを感じると、トレーダーの心理には以下のような影響が出ます:
- 過剰な取引
「損失を取り返したい」と思い、計画性のないエントリーを繰り返してしまう。 - 感情的な判断
焦りによりルールを無視し、「とにかく利益を上げる」という衝動的な行動に走る。 - 損失拡大
自分のミスを認められず、損切りのタイミングを逃す。
焦りはトレーダーにとって最大の敵です。本記事では、冷静さを保ちながらトレードを続けるための具体的な3つのコツをご紹介します。
焦りの原因はどこにあるのか?

利益が目標に届かずに焦る原因としては次のものが挙げられます。
- コントロールできないことを目標にしてしまう
- 自分の戦略にあった相場がこない
それぞれ説明していきます。
コントロールできないことを目標にしてしまう
1つ目の原因は「コントロールできないことを目標にして、どうにかしたくなるから」です。
人はコントロールできないものを目の前にすると不安になり、どうにかしたくなります。
例えば、
「1週間後に旅行の計画があり、天気が不安」
天気はどうにもできないけど、晴れてほしい → てるてる坊主を飾る。
「10年後に家族全員が健康でいられるか不安」
未来はどうにもできないけど、全員健康でいてほしい → 食生活を改善したり健康診断を受ける。
のように、不安を感じるとそれに対しての対策を講じようとします。(効果の有無は別として)
トレードも同じです。
「トレードで資金が減らないか不安」
→相場の動きはどうにもできないけど、早く利益がほしい
→なんとか利益を出そうと色々試す(これが焦り)
この「色々試す」という行動が、焦りによって悪い方向に働く場合があります。具体例を挙げると:
- 早く利益が欲しくて、ルールを無視して決済してしまう。
- 連敗が続くと、新しいルール(戦略)を探し始める。
- ルールとは異なるタイミングでエントリーを行ってしまう。
どれも、「利益が欲しい」という気持ちが強すぎるために焦った結果です。
ちなみに、早く利益が欲しくて薄利決済をしてしまう場合は、次の記事も参考にしてみてください。
どうにもならないものを欲しがると、焦りが生じる原因となる。
また、その焦りが問題行動を起こしてしまう原因となる。
自分の戦略にあった相場にならない
2つ目の原因は「自分の戦略にあった相場にならない」からです。
例えば、「月に利益を5%出したい」という目標を掲げたとします。
この目標自体は悪いものではありませんが、もし1ヶ月間、一度もエントリーチャンスがないような相場状況だったらどうでしょうか?

「利益を出すために、エントリーしないといけない」という焦りが生じてしまいませんか?
その結果、ルールを無視して不適切なエントリーを行ってしまうことがあります。
このような焦りは、先に挙げた「コントロールできないことを目標にする」という問題とも繋がっています。動けない状況への焦りが、自分で機会を作り出そうとする行動につながるのです。しかし、その行動が結果的にトレードの失敗を招く原因となります。
実際、このような状況で相場を俯瞰してみると、相場が「凪状態」や「レンジ相場」であることがよくあります。このようなときに焦ってエントリーを試みるのは、リスクが高く、冷静な判断を失う要因となります。
このため、こうした状況では「エントリーチャンスがないなら、エントリーしない」という判断が最も正しい行動です。相場には、待つこともトレードの一部であるという認識を持つことが重要です。
- 相場の状態が見えていないと、トレード出来ていない現状に焦りが生まれる。
- なんとかトレードしようとするが、機会を自分で作り出すトレードは「相場の状態を無視」した動きになる。
冷静さを保つための3つのコツ

では、「利益目標に届かなくても焦らないようになる」にはどうすればよいでしょうか?
それには次の3つを試してみてください。
- プロセス重視の考え方を持つ
- 利益額を目標にしない
- 「相場はコントロールできない」と唱える
それぞれ説明していきます。
1つ目のコツ:プロセス重視の考え方を持つ
トレードの評価基準を「利益が出たかどうか」から「ルール通りにトレードできたかどうか」に切り替えてみましょう。
ルールさえ守っていれば、結果は後からついてくる、という考え方です。
プロのトレーダーは結果よりもプロセスを重視します。なぜなら、結果は自分ではコントロールできないからです。一方、プロセスに集中すれば、結果は自然とついてくると確信しているからです。
たとえば、大リーグで活躍する大谷選手の試合後のインタビューでも、「結果はコントロールできないので、自分ができることを繰り返すだけ」という趣旨の発言をよく耳にします。この考え方はトレードにも通じます。
トレードごとに「利益が出たかどうか」で評価するのは、野球で「ヒットが出なかった打席はすべてダメ」と言うようなものです。
しかし、フォームが崩れていなければ、打率はやがて安定してくるものです。これと同じように、1回のトレードで利益が出なくても、ルール通りに繰り返していれば、ルールの期待値に収束していくと考えましょう。
実践方法
具体的な方法としては、1トレードごとに「ルール通りのトレードが出来たかどうか」をトレードノートに記録していきましょう。
トレードノートの書き方については、下記の記事を参考にしてみてください。
長々と書くと続かないので、慣れるまでは、ルール通り出来たか○✕をつける程度で構いません。
そして、○がついたトレードの場合、勝ち負けに関わらず、自分を褒めるとなお良いです。逆に、✕のついた時でも、自分を責めないようにしてください。
淡々とトレードごとに○✕をつけて、○が増えることを喜ぶようにすると利益にとらわれなくなります。
そもそも、トレードルールが無い、という人は、下記の記事にてトレードルールの作り方を解説しておりますので、参考にしてみてください。
- 結果(利益)ではなくプロセス(トレードのルール)を重視する。
- トレードノートをつけ、ルール通りなら○印。○が増えていくことを喜ぼう。
2つ目のコツ:利益額を目標にしない
前項とも関連しますが、利益額を目標にせず、プロセスを達成することを目標にしてみましょう。
利益額を目標にすることで、以下のような弊害が生じる可能性があります。
- 「あと少しで目標額!」と思うと、ルールを無視してしまう
例えば「少しだけリスクを増やせば届くかも」と考えてしまうことがあります。 - 目標から遠ざかると、損切りをためらう
「これを損切りしたら目標に届かない」と考え、結果的に損失が膨らむリスクがあります。 - 目標達成後、減らしたくない気持ちからトレードを控える
トレードを止めてしまうことで、長期的な成長の機会を失います。 - 目標達成のために、利益が出ていたらすぐ決済してしまう
本来のルールに従えば利益を伸ばせる場面でも、早まった決済をしてしまうことがあります。
実践方法
利益額を追い求める代わりに、ルールを守ることを目標に設定しましょう。具体例としては以下のようなものがあります。
- ルール通りの取引を月に5回行う(相場に合わないと判断した場合、見送った回数もカウントする)。
- ルールに適合しない相場では、適切に見送る判断をする。
- 毎回のトレードをトレードノートに記録する。
このような目標は、トレードの精度を高めるだけでなく、冷静さを保つ助けになります。
長期的な利益目標はモチベーションアップに有効
利益額を目標にすること自体を完全に否定するわけではありません。長期的な視点であれば、モチベーションを高める助けになることもあります。
例えば、以下のような目標を設定するのは効果的です。
- 「年率30%を目指す」
- 「5年で元本を倍にする」
ただし、注意が必要です。期限が近づくと目標額が気になりすぎてしまう場合があります。これが原因で、冷静な判断ができなくなることもあるでしょう。
心がけのポイント
期限が迫って目標額を意識し始めたら、その目標を一旦忘れる勇気を持ちましょう。長期目標はあくまでモチベーションの指針として活用し、日々のトレードではプロセス重視を徹底することが重要です。
利益を追いすぎず、ルールに忠実なトレードを積み重ねていきましょう!
- 目標は、利益額ではなく、ルールを守れるようになるものを。
- モチベーションを上げるためなら、長期的な目標として利益目標はアリ。但し、利益額が気になり始めたら忘れること。
3つ目のコツ:「相場はコントロールできない」と唱える
3つ目は、シンプルで手軽に実践できる方法です。
利益が出ずに焦りを感じたときは、次の言葉を繰り返してみてください。
「相場はコントロールできない。コントロールできるのは売買タイミングだけ」
相場をコントロールできないのはプロでも同じ
良い流れが来なくてトレードができない状態は、どんなプロトレーダーにも訪れます。
しかし、上級者ほど「相場は個人ではどうにもならない」ということを深く理解しています。彼らはまた、自分が唯一コントロールできるのは売買のタイミングだけだと認識しています。
イメージ的には、勝ちトレーダーと負けトレーダーは次のような違いがあります。
- 負けトレーダー: 流れのない川を無理に泳ぎ、エネルギーを無駄に消費
- 勝ちトレーダー: 流れが来たときだけ泳ぎ、その流れに乗ることで効率的にエネルギーを消費
つまり、相場が自分に合わないときは、「売買できていない」と考えるのではなく、「売買しない」と自分で決めているという感覚が重要です。
「見送る」という選択の価値
トレードしないことには、以下の実益もあります。
- 無駄な損失を抑えられる
不適切な相場での取引を避けることで、資金を守ることができます。 - 冷静な判断を取り戻せる
見送る決断をすることで、焦りを抑え、次のチャンスに備えることができます。
焦らず、自分がコントロールできる部分に集中することで、トレードの質を高めることができます。無駄な損失を抑え、次の流れに備えて冷静さをキープしましょう!
- 「相場はコントロールできない。コントロールできるのは売買タイミングだけ」と唱えて意識づけしてみる。
- 意識づけたら、意識的に見送りをしてみる。
まとめ
利益目標に届かず焦るのは、自分ではどうにも出来ない「利益」と「相場」をどうにかしたいと思ってしまうからです。
これをなんとかしようと、もがくと、ルールを無視したトレードになり、無駄エントリー等で、せっかく出た利益を減らす羽目になってしまいます。
なので、利益を目標にするのではなく、ルール通りにトレードすることを目標にしてみてください。
また、利益も相場も自分ではコントロールできない、ということを意識付けるために
「相場はコントロールできない。コントロールできるのは売買タイミングだけ」と唱えてみましょう。