ローソク足の基礎知識

ローソク足とは?
ローソク足は、日本で生まれたチャート分析手法(江戸時代に本間宗久が考案)であり、相場の価格変動を視覚的に表現したチャートの一種です。FX・株式・暗号資産(仮想通貨)などのトレードに広く使われ、世界中の投資家にとって標準的な価格分析ツールとなっています。

ローソク足はたった1本で、一定の時間内の「始値」「高値」「安値」「終値」 の4つの価格情報を表し、相場の流れや売買の勢いを直感的に把握できるのが特徴です。
日足であれば、ローソク足1本が1日(24時間)の価格変動を表しますが、時間軸(タイムフレーム) によって1本のローソク足が表す期間が変わります。
時間軸(タイムフレーム) | ローソク足1本が表す期間 | 主な用途 |
---|---|---|
1分足(M1) | 1分間の値動き | スキャルピング(超短期売買) |
5分足(M5) | 5分間の値動き | 短期トレード(デイトレ) |
15分足(M15) | 15分間の値動き | デイトレード・スキャルピング |
30分足(M30) | 30分間の値動き | 短期トレード・スイングトレード |
1時間足(H1) | 1時間の値動き | 短期トレンドの確認 |
4時間足(H4) | 4時間の値動き | 中期トレンドの分析 |
日足(D1) | 1日の値動き | 中長期トレンドの把握 |
週足(W1) | 1週間(月曜~金曜)の値動き | 長期のトレンド分析 |
月足(MN1) | 1か月(1日~月末)の値動き | 超長期の相場動向分析 |
- 4時間足(H4)
→ 1本のローソク足が 4時間の価格変動 を示し、1日で 6本 形成される。 - 週足(W1)
→ 1本のローソク足が 1週間(月曜~金曜)の価格変動 を示し、1年で約 52本 形成される。 - 月足(MN1)
→ 1本のローソク足が 1か月の価格変動 を示し、1年で 12本 形成される。
このように、時間軸ごとにローソク足1本が示す期間が異なり、それぞれのトレードスタイルに応じて適切なタイムフレームを選ぶことが重要です。
ローソク足の構造と意味
ローソク足は「実体」と「ヒゲ」の2つの部分から成り立っています。また、ローソク足1本は、その時間枠内の4つの価格(始値 / 終値 / 高値 / 安値) を示します。
終値>始値を陽線といい、買いの勢いが強かった状態を表します。
終値<始値を陰線といい、売りの勢いが強かった状態を表します。

要素 | 説明 |
---|---|
実体 | 始値と終値の間の範囲(色が付く部分) |
ヒゲ | 高値と安値の範囲(実体からはみ出た部分) |
始値(オープン) | その時間枠の最初の価格 |
高値(ハイ) | その時間枠の最高価格 |
安値(ロー) | その時間枠の最安価格 |
終値(クローズ) | その時間枠の最後の価格 |
ローソク足の色について:日本と海外の違い
ローソク足の色は、上昇(陽線)・下降(陰線)の判別を視覚的にしやすくするためのもの ですが、日本と海外では一般的に使われる色が異なります。
日本では、伝統的に白(陽線)と黒(陰線)が使われてきました。日本の証券会社がカラー表示を導入すると、多くのチャートでは以下の配色が採用されました。
- 陽線(上昇) → 赤
- 陰線(下降) → 青
この配色は、日本の株式市場では今でも一般的に使われており、国内の証券会社のチャートでは「赤=上昇、青=下落」が標準になっていることが多いです。
海外(特に欧米)では、安全な色と危険な色の概念に基づいて以下の配色が主流となりました。
- 陽線(上昇) → 青または緑(Green / Blue)
- 陰線(下降) → 赤(Red)
この配色は、「緑(安全・成長)」と「赤(警告・危険)」のイメージに基づくもので、視覚的に直感的に理解しやすいため、現在では世界の標準的な配色になっています。また、海外ではローソク足ではなくバーチャートと呼ばれるバーで表現するチャートも用いられます。
価格変動を読み取るポイント
ローソク足は、単なる価格の動きではなく、市場参加者の心理や売買のバランスを視覚的に示す 重要なツールです。ローソク足のパターンやヒゲの長さ、実体の大きさを分析することで、次のような情報を読み取ることができます。
(1) トレンドの方向性
トレンドの方向性を判断するためには、ローソク足の連続したパターンを観察することが重要です。
✅ 陽線が連続する → 上昇トレンドの可能性が高い

- 価格が継続的に高値を更新している場合、買いの勢いが強い。
- 「大陽線(長い実体)」が連続する場合、トレンドが加速する可能性がある。
- 短い押し目(小陰線や下ヒゲ陽線)が出た後、再び陽線が続けば強い上昇トレンドの継続シグナルとなる。
✅ 陰線が連続する → 下降トレンドの可能性が高い

- 価格が安値を更新し続けると、売りの勢いが強く、トレンドが下向きになる。
- 「大陰線(長い実体)」が連続する場合、さらなる下落の可能性がある。
- 短い戻し(小陽線や上ヒゲ陰線)が出た後、再び陰線が続けば、強い下降トレンドが継続する可能性がある。
(2) 買い手と売り手の攻防
市場では、常に買い手と売り手が戦っています。ローソク足のヒゲの長さや実体の位置を見ることで、その攻防の結果を読み取ることができます。
✅ 長い上ヒゲ → 一時的に価格が上がったが、売り圧力で押し戻された

- 上昇したが、売りの勢いが強くなり、高値を維持できなかった。
- 高値圏で出現すると「天井形成」の兆しとなる。
✅ 長い下ヒゲ → 一時的に価格が下がったが、買い圧力で持ち直した
- 一時的に価格が安くなったが、買いの勢いで押し戻された。
- 安値圏で出現すると「底打ち」の兆しとなる。
- 上昇トレンド中に下影陽線が出た場合、押し目買いの好機となる可能性がある。
(3) サポート・レジスタンスの確認
サポート(支持線)やレジスタンス(抵抗線)は、価格が反発しやすい重要なポイントです。ローソク足の形状を分析することで、それらの強さを判断することができます。

✅ 実体が小さくヒゲが長いローソク足 → 反転の兆し(買い・売りの均衡が崩れる可能性)
- サポート付近で長い下ヒゲのローソク足が出現 → 反発の兆し(買いが強くなる)
- レジスタンス付近で長い上ヒゲのローソク足が出現 → 反落の兆し(売りが強くなる)
🎯 サポート・レジスタンスの強さを判断するポイント
- 何度も反発している価格帯は「強力なサポート or レジスタンス」
- ヒゲが長くなるほど、買い手 or 売り手が防衛しているサイン
- ブレイク後に戻ってきた際、以前のサポートがレジスタンスに変わることがある(サポレジ転換)
陽線・陰線の基本的なパターン
ローソク足の形状は、市場参加者の心理を反映しており、実体の大きさやヒゲの長さによって、相場の強さや転換の兆候を読み取ることができます。特に、以下の4つのパターンを理解することで、相場の動向をより的確に分析できます。
大陽線/大陰線
大陽線

特徴
- 実体が長く、ヒゲがほとんどない(または短い)。
- 強い買い圧力が継続し、終値が高値付近で終わる。
- 価格が一方的に上昇したことを示す。
意味
- 上昇トレンド中に出現すると、さらなる上昇の可能性が高い。
- 下降トレンドの終盤に出ると、トレンド転換の兆しとなることもある。
活用例
- サポート付近での大陽線 → 反発の強いサイン(買いエントリーの機会)。
- トレンド中の大陽線 → 上昇の継続(押し目買いを狙う)。
大陰線

特徴
- 実体が長く、ヒゲがほとんどない(または短い)。
- 強い売り圧力が継続し、終値が安値付近で終わる。
- 価格が一方的に下落したことを示す。
意味
- 下降トレンド中に出現すると、さらなる下落の可能性が高い。
- 上昇トレンドの終盤に出ると、トレンド転換の兆しとなることもある。
活用例
- レジスタンス付近での大陰線 → 反落の強いサイン(売りエントリーの機会)。
- トレンド中の大陰線 → 下落の継続(戻り売りを狙う)。
小陽線/小陰線
小陽線

- 特徴
- 実体が小さく、ヒゲが短い。
- 相場の動きが弱く、買いと売りが拮抗している。
- 意味
- 強いトレンド中に出現した場合、調整(レンジ相場)の可能性がある。
- 重要なサポート・レジスタンス付近で出現すると、相場が迷っている状態を示す。
- 活用例
- 大陽線の後に小陽線が出た場合 → トレンドの勢いが弱まる可能性(次のローソク足の動きを確認)。
- 小陽線が連続する場合 → 相場が持ち合い状態(ブレイクアウト待ち)。
小陰線

- 特徴
- 実体が小さく、ヒゲが短い。
- 相場の動きが弱く、買いと売りが拮抗している。
- 意味
- 強いトレンド中に出現した場合、調整(レンジ相場)の可能性がある。
- 重要なサポート・レジスタンス付近で出現すると、相場が迷っている状態を示す。
- 活用例
- 大陰線の後に小陰線が出た場合 → 下落の勢いが弱まる可能性(次のローソク足の動きを確認)。
- 小陰線が連続する場合 → 相場が持ち合い状態(ブレイクアウト待ち)。
上影陽線/上影陰線
上影陽線

- 特徴
- 実体は陽線で、長い上ヒゲを持つ。
- 一時的に価格が大きく上昇したが、売り圧力で押し戻された。
- 意味
- 高値圏で出現すると、天井サイン(売りのシグナル)となることが多い。
- 下降トレンド中に出現すると、一時的な反発を示すが、戻り売りのチャンスとなることが多い。
- 活用例
- 高値圏で上影陽線が出たら、反転の可能性が高いため警戒(売りエントリーのチャンス)。
- トレンド中の上影陽線は、調整局面のサインとして活用(トレンド転換に注意)。
上影陰線

- 特徴
- 実体は陰線で、長い上ヒゲを持つ。
- 一時的に価格が上昇したが、最終的に大きく売り込まれた。
- 意味
- 売り圧力が強く、下降トレンドの加速要因となることが多い。
- 重要なレジスタンス付近で出現すると、強い下落シグナルとなることがある。
- 活用例
- レジスタンス付近で上影陰線が出たら、売りエントリーの好機。
- 下降トレンド中の上影陰線は、トレンド継続のサインとして活用。
下影陽線/下影陰線
下影陽線

- 特徴
- 実体は陽線で、長い下ヒゲを持つ。
- 一時的に価格が大きく下落したが、買い圧力で押し戻された。
- 意味
- 安値圏で出現すると、底打ちのサイン(買いのシグナル)となることが多い。
- 上昇トレンド中に出現すると、押し目買いの好機となることが多い。
- 活用例
- サポート付近で下影陽線が出たら、買いエントリーのチャンス。
- 上昇トレンド中の下影陽線は、押し目買いのポイントとして活用。
下影陰線

- 特徴
- 実体は陰線で、長い下ヒゲを持つ。
- 一時的に価格が下落したが、買い戻しが入り、最終的には上昇して終わる。
- 意味
- 下落トレンドの途中で出現すると、反発の兆しとなることがあるが、強いトレンドではそのまま下落することもある。
- 重要なサポートライン付近で出現すると、底打ちのサインとなる可能性がある。
- 活用例
- サポート付近で下影陰線が出たら、買いエントリーの可能性を検討。
- 下落トレンド中の下影陰線は、一時的な戻りの可能性があるため注意。
代表的なローソク足パターンと活用法

ローソク足パターンとは?
ローソク足は単独でも相場の動きを示しますが、複数のローソク足が組み合わさることで、より信頼性の高い相場の動向を示唆するパターンを形成します。これらのパターンを活用することで、トレンドの転換点や継続のサインをより正確に把握できます。
さらに、ローソク足パターンを移動平均線やボリンジャーバンドなどのインジケーターと組み合わせることで、より精度の高いトレードが可能になります。
ローソク足パターンは、大きく分けて「トレンド転換型」と「トレンド継続型」の2つのカテゴリがあります。
パターンの種類 | 意味・特徴 |
---|---|
トレンド転換型 | 上昇・下降トレンドの終わりを示唆 |
トレンド継続型 | 既存のトレンドが続く可能性が高い |
トレンド転換型
トレンド転換型のパターンは、それまでの上昇・下降トレンドの流れが変わる可能性を示唆します。
ピンバー
ピンバーは、長いヒゲを持ち、実体が小さいローソク足のことを指します。市場参加者の一時的な強い買い・売り圧力が反映された形状で、相場の反転ポイントとして注目されます。ローソク足の形としては、前述の上影陽線/陰線、下影陽線/陰線とほぼ同じです。

特徴
- 長いヒゲ(通常はローソク足の実体の2倍以上)
- 小さい実体(開いた価格と閉じた価格の差が小さい)
- 上ヒゲが長ければ「弱気のシグナル」
- 下ヒゲが長ければ「強気のシグナル」
- 重要なサポート・レジスタンスラインで発生すると信頼性が高まる
使い方
ピンバー単体で、転換を示す、というよりは、サポート・レジスタンスライン付近にピンバーが出ることで、そこに抵抗帯があることを確認するサインとして使うことが多いです。

スパイクハイ/スパイクロー
ピンバーとピンバーが出る前の流れをセットでスパイクハイ/スパイクローと呼びます。
上昇の流れで、ピンバーが出ることをスパイクハイ、下落の流れでピンバーがでることをスパイクローといいます。サポート・レジスタンスライン付近で出ることで転換を示すサインとして使われます。

この時の市場心理としては、次のようになります。
スパイクローの市場心理
- 価格は下落していた(売りが強い)
- 一時的に大きく下落した(売りの勢いがピークに達した)←ピンバー
- しかし、買い圧力が強くなり、下ヒゲを形成(買いが売りを上回る)←ピンバー
- 次の足で価格が高値を超えると上昇に転じる
スパイクハイの市場心理
- 価格は上昇していた(買いが強い)
- 一時的に大きく上昇した(買いの勢いがピークに達した)←ピンバー
- しかし、売り圧力が強くなり、上ヒゲを形成(売りが買いを上回る)←ピンバー
- 次の足で価格が安値を割ると下落に転じる
はらみ足/包み足
はらみ足と包み足は、2本のローソク足の関係を表すパターンであり、特に天井圏・底値圏で相場の転換を示唆するものとして活用されます。
どちらも単体ではなく、前のローソク足との関係性を重視して相場の流れを判断するため、重要なトレードシグナルとして用いられます。
はらみ足

直近のローソク足が一つ前の足に包みこまれる組み合わせです。
はらみ足の特徴
- 子足が親足の範囲内に完全に収まる(高値/安値をブレイクしなかったことを示す)
- 市場の迷い(コンソリデーション)を示す → ブレイク時に大きく動きやすい
- 天井圏や底値圏で発生すると転換の可能性が高い
- トレンドの途中で発生すると、エネルギー蓄積(トレンド継続)を示す
はらみ足での転換例


包み足
包み足は、直近のローソク足(親足)が前のローソク足(子足)を完全に包み込むパターンです。
これは、前の足の動きを完全に打ち消す形となり、強いトレンド転換のサインとして機能します。
はらみ足よりも強めのサインです。なぜなら、包み足の時間足を上げると、長いヒゲのローソク足となるからです。


包み足の特徴
- 親足が子足を完全に包み込む(高値も安値も超える)
- 市場の勢力が一気に逆転する強いシグナル
- 天井圏・底値圏で発生するとトレンド転換の可能性が高い
- 出来高が増加すると信頼性が高まる

明けの明星/宵の明星
明けの明星/宵の明星は、3本のローソク足の組み合わせにより、トレンドの転換を示唆するパターンです。元は酒田五法の三川(ローソク足が川の字のように3本並ぶチャートパターン)の一つで、次のような形をいいます。

FXで使う場合の注意点としては、FXでは窓はめったに開かないという点です。
酒田五法 は元々、日本の米相場で用いられていた分析手法で、その後、株式相場で広く使われるようになったものです。
株式相場では窓(ギャップ)を開けることが多いですが、FXでは月曜日のオープン以外は場中で窓が開くことはほとんどありません。
この点を考慮すると、FXにおける「明けの明星」「宵の明星」は、窓の有無に関わらず、3本のローソク足の流れを重視して判断する必要があります。
FXでの明けの明星/宵の明星の見方
- 2本目の足が「小陽線・小陰線・十字線」になっているか(市場の迷い)
- 3本目が、1本目の半値を超えているか(勢力の逆転)
- サポートライン・移動平均線・フィボナッチの重要レベルで発生しているか

明けの明星/宵の明星での転換例

三尊(ヘッドアンドショルダー)/逆三尊
「三尊」(さんぞん)と「逆三尊」(ぎゃくさんぞん)は、トレンドの転換を示唆するとされる代表的なチャートパターンです。英語では三尊を「Head and Shoulders (ヘッド・アンド・ショルダー)」、逆三尊を「Inverse Head and Shoulders (インバース・ヘッド・アンド・ショルダー)」と呼びます。
これまで解説してきたパターンはローソク足1本~3本で構成されることが多かったですが、三尊や逆三尊はローソク足の本数が決まっていません。複数のローソク足によって、3つの山(または谷)が形成されるパターンを指します。
三尊
三尊は、真ん中に最も高い山(「頭(ヘッド)」)があり、その両側にそれより低い山(「肩(ショルダー)」)が並ぶ形状を指します。また、左肩の安値と右肩の安値を結んだ線を「ネックライン」と呼びます。

右肩が左肩よりも低い位置で反落するほど、上昇トレンドの勢いが弱まっていることを示し、形としては精度が高いと考えられます。しかし、実際のチャートでは綺麗に形作られないことが多く、大まかな形状から三尊と判断される場合も少なくありません。
逆三尊
逆三尊は三尊とは逆のパターンで、真ん中に最も深い谷(「頭(ヘッド)」)があり、その両側にそれよりも浅い谷(「肩(ショルダー)」)が並ぶ形状を指します。通常、下降トレンドの最終局面で形成されやすく、上昇トレンドへの転換を示唆すると考えられています。

また、左肩の高値と右肩の高値を結んだ線を「ネックライン」と呼び、これを上抜けすることでパターンが完成したとみなされます。現実のチャートでは必ずしも左右対称に形成されるとは限りませんが、おおまかな形状を確認して逆三尊として認識されるケースが多いのも特徴です。
使い方
三尊では、ネックラインを明確に下抜けしたタイミング、もしくはネックラインを下抜けしたあとにいったん戻して、ネックラインがレジスタンスラインとして機能することを確認できたタイミングでエントリーする方法が一般的です。
一度下抜けても、すぐに戻してネックラインを再度上抜けしてしまう「だまし」が発生する場合があるため、しっかりとネックラインを抵抗帯(レジスタンス)として認識する動きが見られてから仕掛けることで、失敗を減らしやすくなります。

逆三尊では、三尊のケースとは逆の動きを狙います。

- ネックラインを明確に上抜けしたタイミング
- いったん上抜けしたあとに押し戻され、ネックラインがサポートラインとして機能することを確認できたタイミング
この2つのポイントでエントリーを検討するのが一般的です。ネックラインを超えてもすぐに価格が下げてしまう「だまし」を避けるためにも、ネックラインがしっかりとサポートとなっているかを見極めることが重要です。
トレンド継続型
続いて、トレンド継続型のパターンです。トレンド中にこのパターンが出ると、トレンドが継続する傾向があります。
赤三兵/三羽ガラス
赤三兵

赤三兵は、上昇トレンドが継続する可能性を示唆すると考えられているパターンです。通常、連続する3本の陽線(赤色のローソク足=日本のチャートでは陽線)が階段状に現れる形状を指します。3本の陽線が続くことで、買いの勢いが強く、上昇トレンドが継続または加速する可能性があると解釈されます。
三羽ガラス

三羽烏は赤三兵と反対のパターンで、連続する3本の陰線(黒色のローソク足=日本のチャートでは陰線)が下向きに並ぶ形状を指します。相場の下落が継続する可能性を示唆すると考えられています。
実際のチャートでの実例

実際のチャートでは、実体やヒゲの長さのパターンが無数にあるので、3本連続で陽線/陰線でトレンドが強い状態である、という相場認識に使うのが良いと思います。
また、赤三兵が形成されていても、3本目の陽線が勢いを失い、実体が短くなったり上ヒゲが長くなったりして、買いの力がやや弱まっている形が「赤三兵の先づまり」と呼ばれることがあります。

これは、上昇トレンドが一服する前兆、または上昇継続に対してやや警戒すべきシグナルとも見なされるパターンです。
三法
三法(さんぽう)とは、市場の「膠着状態」または「トレンド継続」を示す重要なシグナルです。三法には上げ三法/下げ三法があります。
上げ三法
上昇トレンドの途中で一時的な調整が入り、再び上昇する形のパターンです。
- 大きな陽線の後に、小さな陰線が2~3本並ぶ
- その後、大きな陽線が出て、上昇トレンド継続を示唆

下げ三法
下降トレンドの途中で一時的な調整が入り、再び下落する形のパターンです。
- 大きな陰線の後に、小さな陽線が2~3本並ぶ
- その後、大きな陰線が出て、下降トレンド継続を示唆

実際のチャート例

実際のチャートでは、三法が教科書通りに大陽線や大陰線に挟まれる形で出現することは稀です。そのため、三法は「トレンドの中での一時的な調整」として捉えるのが適切です。このパターンが現れた場合、「トレンドに逆らって逆張りしない」「調整中はエントリーを控える」といった判断に活用すると効果的です。
ランウェイアップ/ランウェイダウン
これまで紹介したローソク足パターンは、直近のローソク足が形成された時点で判断できるものが多く、例えば「包み足」や「ピンバー」などは現れた時点でトレードの判断が可能です。
しかし、ランウェイアップとランウェイダウンは、一定の本数のローソク足が連続して出現した後に確定するパターンであり、即座に判断できるものではありません。
定義としては、次のようになります。
ランウェイアップ
- 何本線で見るか期間を決める(Nとする)
- 基準のローソク足の高値が前N本の全ての高値よりも高い
- 基準のローソク足の安値が後N本の全ての安値よりも低い
- 上記が成立することで上昇トレンド継続と判断
- Nの本数が多いほど、相場の勢いは強い

ランウェイダウン
- 何本線で見るか期間を決める(Nとする)
- 基準のローソク足の安値が前N本の全ての安値よりも低い
- 基準のローソク足の高値が後N本の全ての高値よりも高い
- 上記が成立することで下降トレンド継続と判断
- Nの本数が多いほど、相場の勢いは強い

実際のチャート例

価格水準の切り上がり、切り下がりを判断するのに適しているパターンです。
スラストアップ/スラストダウン
スラストアップ(Thrust Up)とスラストダウン(Thrust Down)は、前日と当日のローソク足を比較することで、相場の勢い(モメンタム)を判断するチャートパターンです。
- スラストアップ(Thrust Up):
- 当日の終値が前日の高値を超えている状態
- → 上昇の勢いが強く、トレンドが継続または新たな上昇トレンドが始まる可能性が高い
- スラストダウン(Thrust Down):
- 当日の終値が前日の安値を下回っている状態
- → 下降の勢いが強く、トレンドが継続または新たな下降トレンドが始まる可能性が高い

このパターンは単日ではなく、前日の値動きとの比較によって確定する点が特徴的です。また、連続して出現するほど勢いがあり、強トレンドが発生していることを意味します。
他のインジケータとの組み合わせ方法

今回紹介したローソク足のチャートパターンは、単独で使用するよりも、他のインジケータと組み合わせることで、より高い効果を発揮します。
ここでは、サポート/レジスタンスライン・移動平均線・ボリンジャーバンドを用いた組み合わせ手法を紹介します。
サポート/レジスタンスラインを用いた手法
サポートラインとレジスタンスラインは、過去の主な安値・高値を結んだラインであり、相場の転換点やブレイクポイントとして機能します。
- サポートライン:価格が下落した際に、反発しやすい価格帯
- レジスタンスライン:価格が上昇した際に、反発しやすい価格帯
このラインとローソク足パターンをあわせて活用することで、エントリーの精度を向上させる手法です。

移動平均線を用いた手法
移動平均線とは、過去一定期間の価格の平均を算出し、チャート上に表示することでトレンドを視覚的に捉えるためのインジケーターです。詳しくは下記記事にて紹介しておりますので参考にしてみてください。
移動平均線を活用したトレード手法は、大きく「トレンド転換型」と「トレンド継続型」の2つに分類できます。
トレンド転換型
トレンド転換型の手法では、移動平均線の交差や特定のチャートパターンを組み合わせて、トレンドの転換点を見極めます。
例えば、移動平均線のトレンド転換を示すデッドクロスと三尊のネックライン割れが同じ付近で起こることを確認することで、よりトレンド転換の根拠が生まれるため、エントリー精度が高まります。

トレンド継続型
トレンド継続型の手法では、移動平均線の傾きやローソク足のパターンを活用して、トレンドの継続を判断し、エントリーポイントを見つけます。
移動平均線の傾きが大きい場合で、トレンド継続のローソク足パターンが出ている場合は強いトレンド継続中ですので、移動平均にタッチが押し目買いポイントとなります。

ボリンジャーバンドを用いた手法
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に標準偏差(σ:シグマ)を加えた帯(バンド)を描くテクニカル指標です。詳しくは下記記事にて紹介しておりますので参考にしてみてください。
レンジでの逆張り
ボリンジャーバンドはトレンドの強さを示すインジケーターであり、通常はトレンドフォローに使われます。しかし、バンドの傾きが横ばいのレンジ相場では、バンド±2σがサポート・レジスタンスとして機能しやすく、逆張り戦略が有効になります。
ボリンジャーバンド単体ではダマシが多いため、ローソク足の転換パターンを組み合わせることで、精度の高い逆張りエントリーが可能になります。
条件としては、ボリンジャーバンドの傾きが真横でレンジを形成している時に、バンド±2σ付近で転換パターンのローソク足が出現したら、逆張りエントリーを狙います。

ボリンジャーバンドが真横でスクイーズしている時は、ボラティリティも大きくないので、あまり値幅が取れない、という点とブレイクアウトしたら即損切りを徹底する、という点に注意してください。
トレンド継続型
ボリンジャーバンドは、市場のボラティリティを可視化するインジケーターであり、スクィーズ → エクスパンション → バンドウォークの流れを経ることで、強いトレンドが発生します。
この際、ローソク足のトレンド継続パターン(例:スラストアップ、ランウェイアップ、三法など)を組み合わせることで、より確度の高いエントリーが可能になります。
例えば、次のような強いトレンド状態の場合は、ボリンジャーバンドの押し目ポイントである、ひとつ下のバンドタッチが押し目買いポイントとなります。

ローソク足の検証方法

ここまで沢山のローソク足パターンを紹介してきましたが、教科書的な知識だけでは本番に活かすことはできません。実際のチャートで過去トレーニングをして、いくつものパターンや状況を経験してようやく使いこなせるようになります。
手法は、必ず過去検証を行ってから本番に利用するようにしましょう。
過去検証の方法と、おすすめの過去検証ツールの紹介は、下記の記事を参考にしてみてください。
まとめ
ローソク足は、単なる価格の動きを示すだけでなく、市場参加者の心理やトレンドの方向性を読み取るための強力なツールです。
特に、トレンド転換型・トレンド継続型のローソク足パターンを理解し、移動平均線・ボリンジャーバンド・サポート/レジスタンスラインと組み合わせることで、トレードの精度を向上させることが可能です。
トレードにおいて最も重要なのは、理論を学ぶだけでなく、実際のチャートで検証し、自分のトレードスタイルに適した手法を確立することです。ローソク足の特性を活かし、効果的な手法を構築していきましょう!