- EURGBP のようなマイナーペアでも勝てる手法はある?
- 「ラウンドナンバーで反転」って、機械的に判定できる?
- 東京時間にショートを取るって、どういう発想?
結果から見ていきます。
EURGBP はメジャーペアの組み合わせでありながら、数年単位でレンジ気味の値動きをする性格を持つ通貨ペアです。長年 0.83〜0.90 のレンジに収まり、特に 0.0050 ピッチ(0.8500 / 0.8550 / 0.8600 など)のラウンドナンバーで何度も反転する傾向があります。
この EURGBP の性格を活かした「東京時間 + EMA 上昇配列 + ラウンドナンバー通過」でショートする逆張り風手法を 6 年検証した結果は、PF 1.33、シャープ 1.70、勝率 58%、131 取引、累計 +826 pip。マイナーペアの活用例として、サンプルトレードと年別成績で詳しく見ていきます。
検証する手法のルール

エントリー条件(ショート)
- EURGBP 1 時間足、EMA 20 / 50 / 100
- 東京時間:UTC 0-6
- EMA 上昇整列:EMA20 > EMA50 > EMA100 かつ 終値 > EMA20
- ラウンドナンバー通過:当該足の高値と安値が 0.0050 ピッチを跨ぐ
決済条件
- SL:エントリー価格 + 90 pip
- TP:エントリー価格 − 180 pip(RR 2.0)
- TimeStop:48 時間
「上昇配列でショート」というのが直感に反するように見えるかもしれません。これは 「上昇トレンド中の一時的な高値圏での反落を取る」逆張りロジックです。トレンド方向が上、というフィルター自体は損切りリスクを上げますが、ラウンドナンバーでの一時的な反落の確率がそれを上回る、という設計です。
ForexTester で必要なインジケータ設定
- EURGBP 1 時間足チャート
- EMA(20)、EMA(50)、EMA(100) の 3 本
- 水平線:0.8500、0.8550、0.8600 … の 0.0050 刻みで主要価格帯に
- 注文:エントリー時に SL 90 pip / TP 180 pip 同時発注
ラウンドナンバーは 事前に水平線を引いておくのが楽です。EURGBP の場合は 0.0050 刻み(= 50 pip)でラインを引き、東京時間にどれかを跨ぐ足を待つだけで判定できます。

なぜ EURGBP の 1 時間足なのか

EURGBP は 機関投資家のキャリートレードと欧州経済の連動で、長年 0.83〜0.90 のレンジ内に収まる性格があります。USDJPY や GBPJPY のような 政策金利差の大きい通貨ペアと違い、EUR と GBP は同じ欧州圏で経済的にも近い関係なので、極端なトレンドが出にくい構造です。
東京時間(UTC 0-6)は 欧州勢が不在で流動性が薄い時間帯。テクニカル要因(ラウンドナンバー、移動平均線)が機能しやすく、レンジ性のあるマイナーペアと組み合わせると edge が出やすい構造があります。
エントリー条件をもう少し詳しく
「ラウンドナンバー通過」の判定はシンプルです。
- 当該 1 時間足の高値と安値が、0.0050 ピッチの境界を跨いでいる
- 例:High = 0.8512、Low = 0.8488 → 0.8500 を跨いでいる → 該当
- 同時に EMA20 > EMA50 > EMA100 かつ 終値 > EMA20 が成立
- その足の終値でショートエントリー
「EMA 上昇配列でショート」が直感に反する点ですが、これは 「上昇トレンド中のラウンドナンバー到達 = 一時的な利確売りが入りやすい」という現象を取りに行くロジックです。長期的にはトレンドに逆らうので、SL がタイトでないと続けられません。
決済条件 — 固定 SL / TP + タイムストップ
SL 90 pip / TP 180 pip の RR 2.0。EURGBP は 1 日 50-100 pip 動く程度の落ち着いた通貨ペアなので、SL 90 pip は2-3 日のレンジに収まる幅です。
TP 180 pip はレンジ性のあるこの通貨ペアでは 1 ラウンドナンバー区分以上の反落を意味します。180 pip 動くには 3-4 日かかることが多く、TimeStop 48 時間では届かないことがあるので、TIME 決済での小幅利確も発生します。
利確例と損切り例(実際のトレード履歴)
利確例:2020 年 3 月 19 日 EURGBP SELL(+180 pips)

- エントリー:2020-03-19 01:00 UTC、price 0.949(東京時間、0.9500 ラウンドナンバー通過 + EMA 上昇配列)
- SL:0.958、TP:0.931
- 同日 11:00 UTC に TP 到達、+180 pip 確定(10 時間で完了)
2020 年 3 月の コロナショックで EURGBP が 0.95 まで急騰した翌週、東京時間にラウンドナンバー 0.9500 で反落の動きを取った典型例。コロナショックの極端なボラの中で、わずか 10 時間で TP 到達した最大の利確例です。
損切り例:2020 年 3 月 1 日 EURGBP SELL(−90 pips)

- エントリー:2020-03-01 00:00 UTC、price 0.863(東京時間、0.8650 ラウンドナンバー付近)
- SL:0.872 に翌日 13:00 UTC にヒット
同じ 2020 年 3 月でも、コロナショック前夜のリスクオフ初動でラウンドナンバーがあっさり突破されてしまった例。「ラウンドナンバーは反転候補だが、強いトレンドではあっさり破られる」を示す対比例です。
過去 6 年の検証結果

| 指標 | 値 | 判定 |
|---|---|---|
| 取引数 | 131 | 6 年で十分なサンプル |
| 勝率 | 58.0% | RR 2.0 損益分岐 33% を大きく超える |
| プロフィットファクター | 1.33 | 実用ライン超え |
| シャープレシオ | 1.70 | 非常に安定 |
| 累計 pip | +826 | 明確なプラス |
年別サマリー(2020〜2026)
| 年 | 取引数 | 勝率 | PF | 累計 pip |
|---|---|---|---|---|
| 2020 | 33 | 57.6% | 1.03 | +29 |
| 2021 | 14 | 78.6% | 5.17 | +431 |
| 2022 | 31 | 58.1% | 1.42 | +286 |
| 2023 | 15 | 40.0% | 0.95 | -8 |
| 2024 | 12 | 58.3% | 2.56 | +91 |
| 2025 | 23 | 60.9% | 1.00 | +0 |
| 2026 (Jan-Apr) | 3 | 33.3% | 0.86 | -4 |
2021 年の 勝率 78.6%、PF 5.17 という驚異的な数字が累計を底上げ。2023 年は唯一の負け年(-8 pip)ですが、損切り幅は限定的で 大崩れがないのがこの手法の安定性です。
資金シミュレーション(300 万円・1 取引リスク 2% 複利)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 通貨ペア / 時間足 | EURGBP H1 |
| 検証期間 | 2020-01 〜 2026-04(6 年) |
| 初期資金 | 300 万円 |
| 1 取引リスク | 2.0%(残高に応じて毎回ロット計算する複利モデル) |
| 総トレード数 | 131 回(年平均 22) |
| 勝率 | 58.0% |
| プロフィットファクター | 1.33 |
| 最大ドローダウン | 13.0% |
| 6 年後の資金 | 300 万円 → 約 356 万円(+56 万円 / +18.8%) |
2% リスクの複利運用で 6 年累計 +18.8%、年率換算約 +2.9%。最大ドローダウン 13.0%と全 7 手法で最も小さく、レンジ性のあるマイナーペア × 逆張りの安定性が数字に出ています。
検証してみての所感

1. 勝率 58% × RR 2.0 の組み合わせ
勝率 58% × RR 2.0 は、計算上 PF 約 2.8 になるはずです。実際の PF が 1.33 にとどまるのは、SL 90 pip / TP 180 pip がイントラバーで両方触れるケース(保守的に SL 採用)と、TimeStop 48 時間で TP に届かず終わるケースが混じるためです。理論値に達していなくても、十分実用ラインの数字です。
2. EURGBP のレンジ性が edge の源泉
同じロジックを GBPJPY や USDJPY でやっても勝率は出ません。EURGBP の長期レンジ性 × 東京時間の薄い流動性 × 0.0050 ラウンドナンバーの心理的節目、という 3 つの構造的要因が重なって edge を生んでいます。
3. 連敗が小さく心理的に持ちやすい
連敗最大は 5 取引、年間負け越しでも累計 -8 pip 程度。大崩れしない安定性は、レンジ性の通貨ペア × 逆張り手法の特徴で、メンタル負担が軽いのが利点です。
改良するなら?

改良 1:D1 ボリンジャーバンドのレンジ判定
「レンジを抜けた数週間」を避けるために、日足のボリンジャーバンドが拡大していないときだけ取る。BB(20, 2) のバンド幅 ≤ 過去 100 日中央値、を要件に加える形です。レンジ性が維持されている期間に限定することで PF が 1.5 を超えてくる可能性があります。

改良 2:欧州指標カレンダーの除外
東京時間と被らないとはいえ、ECB / BOE 政策金利発表の前後 24 時間はスキップ。ファンダメンタル要因で一方向に走る数日を除外できます。
改良 3:ラウンドナンバー強度フィルター
過去にそのラウンドナンバーで反転した回数をカウントし、3 回以上反転実績がある節目だけ取る。新規のラウンドナンバーは効きにくいので、過去の蓄積がある節目に絞る発想です。
改良と検証を、自分でやってみたい人へ
EURGBP のような レンジ性のあるマイナーペアは、メジャーペアと違う「呼吸」を持っています。日足のチャートで全体感を確認しつつ、1 時間足でラウンドナンバー通過の瞬間を 1 本ずつ見ていくと、教科書には載らない通貨ペア固有のクセが見えてきます。ForexTester は時間軸の切替がワンクリックなので、こうした検証に向いています。


ForexTester でエントリーポイントを確認できるインジケータを無料配布!
この記事で検証した「東京時間 × EMA 上昇配列 × ラウンドナンバー通過」のエントリータイミングを、ForexTester 6 のチャート上で再現できるカスタムインジケータを無料配布します。「自分でも検証してみたい」「ラウンドナンバーを跨ぐ瞬間の見え方を目で確かめたい」という方は、ぜひ使ってみてください。
下記の GitHub の配布ページから ZIP ファイルをダウンロードし、解凍した Tokyo_RoundNumber_SellSignal.dll を ForexTester 6 のインストール場所(例:C:\ForexTester6\)内の Indicators フォルダにコピーするだけで利用できます。
ダウンロード前にご確認ください
このファイルは、Forex Tester 6 上で「東京時間 × EMA 上昇配列 × ラウンドナンバー通過」のエントリータイミングを確認するための検証用インジケータです。
自動売買 EA ではありません。注文発注、口座情報の取得、外部サーバーとの通信は行いません。
個人開発の未署名ファイルのため、Chrome や Windows Defender で警告が表示される場合があります。不安な方は無理にダウンロードせず、記事内のルールをもとに手動で検証してください。
ファイル内容:
- Tokyo_RoundNumber_SellSignal.dll
- README.txt
対象:
- Forex Tester 6
- Windows 版
初めて使う方は、まずは下記のインストール手順をご確認ください。

すでに導入方法が分かる方は、下記の配布ページから ZIP を取得できます。
インストール後、ForexTester 6 で EURGBP の 1 時間足チャートを開き、インジケータを追加すると次のように表示されます。

赤・青・紫の 3 本のラインが EMA20 / EMA50 / EMA100 です。赤の下向き矢印は「東京時間(UTC 0-6)に、EMA20 > EMA50 > EMA100 かつ終値が EMA20 より上の上昇配列で、その足の高値・安値が 0.0050 刻みのラウンドナンバーを跨いだ瞬間」の SELL シグナルです。エッジトリガー(前足まで未成立 → 当足で初めて成立)のときだけ矢印が立つので、条件が続く局面でも最初の足にだけ矢印が表示されます。
このインジケータが描画するのは EMA 3 本と矢印だけです。チャート上の水平線は、本文の手順どおり 0.0050 刻みのラウンドナンバー(0.8500 / 0.8550 / 0.8600 …)にご自身で引いた線です。矢印がどのラウンドナンバーを跨いだ瞬間に立ったのかを目で確認しやすくなります。
矢印はシグナル足を示すので、エントリーはシグナル足の終値(あるいは翌足の始値)、損切りはエントリー価格 + 90pip、利確はエントリー価格 − 180pip(RR 2.0)、最大 48 時間で TimeStop、というのが本記事のルールです。
なお、起動時点から確定足がおおむね 100 本(EURGBP H1 で 4 〜 5 営業日分)揃うまでは EMA の計算ができないため、新しいチャートを開いた直後は左端近辺にインジが描画されません。十分過去まで遡ってデータをロードしてください。
まとめ

EURGBP 1 時間足の東京時間 × EMA 上昇整列 × ラウンドナンバー通過のショートは、PF 1.33 / シャープ 1.70 / 勝率 58% / 累計 +826 pip。EURGBP のレンジ性、東京時間の薄い流動性、0.0050 ラウンドナンバーの 3 つが重なって、勝率 58% という高い数字を出せました。
「マイナーペアでも、その通貨ペアの性格に合った手法なら edge は残る」という結果です。GBPJPY や USDJPY のトレンド系手法とは正反対の発想ですが、通貨ペアの呼吸に合わせて手法を切り分ける姿勢の重要性を確認できる検証でした。


