当記事では、FX過去検証ソフト「Forex Tester」の使い方や過去検証方法を解説いたします。
前回は、実用のおおまかな流れを説明いたしましたが、今回はさらに具体的に「移動平均線」を用いた実用解説を行います。
「過去検証って何?」「Forex Testerって何?」という方は、まず下記をご覧ください。
これを読むと過去検証の重要性やForex Testerの購入法からインストールまで分かります。
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今回の戦略
今回は、移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスを使用した過去検証です。
この記事で提供される情報は、あくまで、Forex Testerの実用例を説明するために、紹介するものであり、個別の投資判断の推奨ではありません。
投資ついては、各自の判断と責任に基づいて行ってください。
当サイトは、投資による損失について一切の責任を負いません。
移動平均線とは?
移動平均線は、過去一定期間の価格の平均を算出し、チャート上に表示することでトレンドを視覚的に捉えるためのインジケーターです。
この線を短期と長期の2本用意し、そのクロス部分でトレンドの転換を図る手法があります。
短期移動平均線が長期移動平均線を上抜けると「ゴールデンクロス」、逆に下抜けると「デッドクロス」と呼ばれ、トレンド転換のシグナルとして利用されます。
その他にも移動平均線の種類などがありますが、詳しくは下記の記事を参照してください。
トレードルール
最低限のルールを決めていきます。
通貨ペアと検証年
2015年のドル円を使用します。
新規プロジェクト作成でUSDJPYを指定して、期間を2014/12/1~2015/12/31に設定してください。
【移動平均線を使うときの注意】
移動平均線は、設定した期間の足が全て読み込まれていないと正確に表示されません。
例えば、20日移動平均線を表示するには、少なくとも20日前の日付からのデータが必要です。
そのため、新規プロジェクト作成時に検証開始日を1か月前に設定する必要があります。
そして、テスト開始日時を検証開始日に設定すれば、1ヶ月分の足が表示された状態で開始されます。
ポジション数
シンプルにするため、1つとします。
すでにポジションがある場合は、必ず決済してからエントリーします。
使う時間足
日足を使います。
エントリールール
- 移動平均線のゴールデンクロスで買いエントリー
- 移動平均線のデッドクロスで売りエントリー
決済ルール
- 買いの場合、デッドクロス発生で決済
- 売りの場合、ゴールデンクロス発生で決済
損切りルール
- 1円幅(1000pips)で損切り
使うインジケーター
Forex Testerのインジケータの準備です。
移動平均線の表示と、クロスバーシグナルの表示を行いましょう。
インジケータの詳細な説明は下記の記事も参考にしてください。
Moving Average
チャート上を右クリックして、「Moving average」を選択します。
まずは、10日移動平均線を設定します。
下記を設定してください。
Period(期間):10
MA type:SMA
Apply to price(採用する価格):Close
Styles(表示する色):お好みで
適用ボタンを押すと、10日移動平均線が引かれます。
同様に、もう1本追加して、Preiodを20に設定した20日移動平均線も設定してください。
下記のようにバーの他に線が表示されていればOKです。
MA Cross Bar Signals
次に、クロスバーシグナルを設定します。
これを設定すると、ゴールデンクロス/デッドクロスが発生したときに矢印サインが表示されます。
チャートを右クリックして「MA Crossover Signals」を選択してください。
10日と20日のクロスを見たいので、下記の設定にしてください。
Fast Period(短期線):10
Mode for fast MA(短期線種類):SMA
Slow Period(長期線):20
Mode for slow MA(長期線種類):SMA
Styles:お好みで
設定すると下記のようにクロス部分に矢印が出ます。
↓矢印がデッドクロス(売りサイン)
↑矢印がゴールデンクロス(買いサイン)
です。
今回の戦略では、クロスバーシグナルが発生したタイミングでエントリーしますので、このインジケーターだけで十分ですが、クロスの発生をわかりやすくするために、Moving Averageも設定しました。
過去検証開始
準備が整いましたので、検証開始です。
自動で進めるとタイミングを逃してしまうので、1本ずつ手動で進めながら実施がおすすめです。
サインが出るまでバーを進めていきます。
早速1つ目のサインが出ました。
成り行き注文を入れましょう。
注文方法は下記の記事にて詳しく解説しております。
売りポジションを持ちました。
このまま損切りに入るか、ゴールデンクロス(上矢印)が発生するまでバーを進めます。
ゴールデンクロスが発生したので決済します。決済方法は下記記事を参考にしてください。
初回のトレードは成功でした。このような形で1年の終わりまで進めていってください。
自分の場合は、下記のような形になりました。
ルールは同じなので、ほぼ同じ形になると思いますが、例えば次の場合、結果が変わります。
- 決済後に、その方向へエントリー(ドテン)
- 決済したら次のエントリーポイントまで待つ
・決済後に、その方向へエントリー(ドテン)
・決済したら、ドテンせず、次のエントリーポイントまで待つ
今回のルールでは、そこまで決めていないので、ここらへんで違いが出た方がいるかと思います。
自分は、前者の決済後即エントリーで実施してます。
どちらが良いか、というのは一概には言えません。
是非、両方のルールで試して比べてみてください。
【ショートカットキー+デフォルト設定で検証の効率アップ!】
時間のかかる検証をサクサク進めるために、デフォルト注文設定とショートカットキーを利用しましょう!
1.デフォルト注文設定
ショートカットキーで注文する際にロット/損切り/利確/トレーリングストップを自動で設定できます。
2.注文のショートカットキー
買い注文:CTRL+B (BuyのBと覚えましょう)
売り注文:CTRL+S (SellのSと覚えましょう)
3.その他よく使うショートカット
バーを1つ進む:スペース
バーを1つ戻る:BackSpace
決済:F5
結果の確認
完了したので、結果の評価を行います。
評価画面の読み方は下記の記事にて解説しておりますので、参考にしてください。
勝率は4割弱で、1%の損失となってしまいました。
しかし、これで「もう駄目だ」と辞めてしまわないでください。
ここからが重要な所です。
課題点は何だったのかを考えて、ルールを調整して、再トライします。
- リスクリワードが0.9なのに勝率が4割(0.9の場合は53%が損益分岐点の勝率)
- 最大利益にムラがある
- 利益を取り逃がすことが多い
ざっくりとこんな感じで書き出してみてください。
※リスクリワードに関しては、簡単に計算できますので、下記の記事を参考にしてください。
ルールの調整
先ほどあげた課題点を解消する仮説を立てて、それをルールに取り入れて見ましょう。
仮説を立てる
リスクリワードを上げるために、最大利益のムラや、利益の取り逃しを防ぐためにはどうしたら良いでしょう?
例えば次のケースです。
売りを入れて、次の決済条件を満たすまでに、一時5円近く含み益が出ています。
(他にも、似たケースは何件かあったので、探してみてください)
次のケースでは、損切が近くて、大きな利益を取り逃しています。
なので、損切り位置を少し広げたい所です。
損切り幅を安易に広げるとリスクリワードが悪化するので注意が必要です。下記の記事を参考にしてください。
しかし、検証の場合は、どんどん試行錯誤して挑戦すべきです。
(問題なのは、検証せずに本番で損切り幅を勝手に広げることです)
よって、ルールに次の変更を加えてみます。
エントリールール
変更なし
決済ルール
- 買いの場合、デッドクロス発生で決済
- 売りの場合、ゴールデンクロス発生で決済
- 【追加】3円伸びたら利益確定
損切りルール
- 【変更】1.5円幅(1500pips)で損切りに変更
注文時に利確設定をすればミスなく決済できます。
新規プロジェクトで新ルールを検証
では、新ルールで再度検証してみましょう。
同じプロジェクトを再起動すると、前回の決済履歴が消えてしまうため、新しいプロジェクトを作成することをおすすめします。
別々に作成すれば、結果を比較することができます。
プロジェクトが増えるのが難点なので、名前付けを工夫しましょう。
ルールを変更して実施すると、前回は取れなかった部分が利益になりました。
前のルールでは損切りになった場面も…
損から利益に転換しました。
利益を3円に固定したため、トレンドの全てを取り切ることはできませんでした。しかし、ルールを工夫すれば、さらに利益を伸ばすことも可能です。(例えば移動平均線を下抜けた等)
全体の結果は下記の通りです。一貫して自分のルールで実施できていれば、結果が異なっても問題ありません。
では、統計画面を確認しましょう。
勝率は5割で、リスクリワードが1.7、利益が約7%に改善されました。
ただ、この他にもまだまだ課題は挙げられます。
- トレンドが無い時はサインが頻発する
- トレンドが出ても固定利益だと伸ばして取れない
- 反転のサインが遅くて利益が減る
このように、課題を見つけたら、それを解消するための仮説を立て、再度検証を行うことを繰り返していくことで、ルールを作り上げていきます。
トレードルールの作り方や注意事項は下記の記事を参考にしてください。
新規プロジェクトを作成する前に、インジケータの情報などをテンプレートとして保存しておくと同じ状況で再開できるので楽です。
カーブフィッティングに注意
トレードのルールを調整して利益や勝率が上がるのを見るのは楽しいものですが、やりすぎるとカーブフィッティングという状態に陥る可能性があるため注意が必要です。
簡単に言うと、特定の年の特定の通貨に最適化された設定のことです。
このような設定は、他の期間や通貨ペアでは成績が上がらなくなる可能性が高いです。
これを防ぐためには、以下のポイントに注意して検証を行うことが重要です。
- 異なる期間での検証
- 異なる通貨ペアでの検証
- リアルタイムデータでのテスト
まとめ
今回は、移動平均線を用いたForex Testerの過去検証を実践してみました。
使い方から調整の方法まで実用的な内容になっておりますので、各自のルールに置き換えて練習してみてください。